絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
「その顔は、俺のこと覚えてたみたいだな?」
マリックは怒りを含んだ笑みを浮かべながら、顎に手を添えて上を向かせる。声も体の動きも封じられ、なす術のないセレナは男の顔を見た。
知らない顔だった。陶酔しきった表情でセレナを見つめる表情に、自分の中の本能が危険を感じる。
「美しい……、君が男だなんて全く……、神様はなんていたずら好きなんだろうね? 時間をかけて私のものにしたいところだけど、生憎悠長なことは言ってられないんだ。少々手荒くするのを許しておくれ」
(なにをする気……いやっ……怖い……)
男の顔が近づきとっさに顔を逸らすと、べろりと頬を舐められた。
(――っ⁉)
ぬめっとした感触に体が硬直し、吐き気が込み上げてくる。これまで感じたことのない恐怖と嫌悪に、自分の中の全てが悲鳴を上げている。なのに、声を出すことも体を動かすこともできなくて、頭がパニックを起こしかけていた。
(だ、誰か……たすけて……殿下……っ)
こんなときにすら、真っ先に思い浮かぶのはアンリだった。苦しさに瞑目すると、目尻から涙がにじむ。
「あぁ、恐怖に震える君もとっても可愛いよ」
男の腕から逃れたい一身で動かせる首をのけ反らせるも、そんなのは抵抗にすらならない。男はうっとりとセレナを見つめたまま、ローブに手をかけようとセレナが抱えたままの教科書を抜き取り床に放り投げる。遮るものがなくなり、セレナの手が胸元の制服の下にあるそれに触れた。
そして全力でそれに魔力を込める。今一番会いたい人の顔を浮かべながら。
――パアァァンッ!
「うっ」
突如目がくらむほどの閃光が放たれ、押し返すような力でセレナと男が引き離される。はじけ飛ぶようにして床に倒れ込んだセレナは痛みに顔をゆがめるも、体の束縛が解かれたのを感じた。それでも恐怖で体に力が入らず、まともに起き上がることもできない。
マリックは怒りを含んだ笑みを浮かべながら、顎に手を添えて上を向かせる。声も体の動きも封じられ、なす術のないセレナは男の顔を見た。
知らない顔だった。陶酔しきった表情でセレナを見つめる表情に、自分の中の本能が危険を感じる。
「美しい……、君が男だなんて全く……、神様はなんていたずら好きなんだろうね? 時間をかけて私のものにしたいところだけど、生憎悠長なことは言ってられないんだ。少々手荒くするのを許しておくれ」
(なにをする気……いやっ……怖い……)
男の顔が近づきとっさに顔を逸らすと、べろりと頬を舐められた。
(――っ⁉)
ぬめっとした感触に体が硬直し、吐き気が込み上げてくる。これまで感じたことのない恐怖と嫌悪に、自分の中の全てが悲鳴を上げている。なのに、声を出すことも体を動かすこともできなくて、頭がパニックを起こしかけていた。
(だ、誰か……たすけて……殿下……っ)
こんなときにすら、真っ先に思い浮かぶのはアンリだった。苦しさに瞑目すると、目尻から涙がにじむ。
「あぁ、恐怖に震える君もとっても可愛いよ」
男の腕から逃れたい一身で動かせる首をのけ反らせるも、そんなのは抵抗にすらならない。男はうっとりとセレナを見つめたまま、ローブに手をかけようとセレナが抱えたままの教科書を抜き取り床に放り投げる。遮るものがなくなり、セレナの手が胸元の制服の下にあるそれに触れた。
そして全力でそれに魔力を込める。今一番会いたい人の顔を浮かべながら。
――パアァァンッ!
「うっ」
突如目がくらむほどの閃光が放たれ、押し返すような力でセレナと男が引き離される。はじけ飛ぶようにして床に倒れ込んだセレナは痛みに顔をゆがめるも、体の束縛が解かれたのを感じた。それでも恐怖で体に力が入らず、まともに起き上がることもできない。