絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
「――んもう! さっきのお茶会での態度はなんなのですか!」

 茶会を終え、王妃に連行された先の国王の書斎でアンリは説教を食らう破目になった。頭から蒸気を出す王妃と、それをなだめる国王を見ながら、考えるのはセレナのことだけ。
 懇意にしている魔導士長に頼みこみ、毎晩セレナが寝付いた頃合いを見計らって転移魔法で寮に飛ばしてもらい苦しんでいるセレナに治癒魔法を施していた。
 口論とさえ呼べないような喧嘩別れから、一言も話せていないこの現状をどうにかしたいのに、この公務が終わらなければ学園に帰れないというやるせなさに苛立ちは募るばかり。
 そんな中で、さっきのお茶会を開かれて自分でも大人げないと思いつつも子どもじみた対応をとってしまったとは思っている。

「アンリ、聞いているのですか?」
「私はそんなだますようなことはやめた方がよいと言ったではないか」と、隣に座っていた国王が王妃を窘める。
「だって、最初から伝えていたらお茶会に来なかったでしょう⁉」
「アンリとて子どもではないのだ、出ろと言えば出ているだろうに、なぁ」
「それが必要な公務なら」

 第二王子という自分の役目を放棄するつもりはないし、それこそ国のために政略結婚を強いられたとしても、受け入れる心づもりはあった。――以前の自分なら……。

「――ただ……」
「……ただ?」

 珍しく自分から発言をしようとするアンリを、王妃と国王は興味深げに注視する。
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