絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
*
学園に無理を言って寮を相部屋にしてもらったまではいいが、考えれば自分と同室を強いられるカイル・デュカスはたまったものではないだろうなと、まだ来ぬ同室相手に同情していると扉の前に立つ人の気配を感じた。
カイルか、それとも物見遊山に来た誰かか……どちらだろうかと様子をうかがっていたものの、その人物は一向に動く気配がない。そのことから、おそらくカイルだろうと目星をつけて、アンリはドアを内側から開け放った。
――ガチャッ
「わっ……! いったぁ……、あっ!」
自分がドアを開けたせいで、相手が驚いて床に尻もちをついてしまい、内心で焦る。しかし、アンリが声を掛けるよりも先に、目の前の生徒は素早く立ち上がるとペコリと頭を下げた。
「し、失礼いたしました王子殿下! お怪我はありませんか」
まず目についたのは、艶やかに美しい金色の長い髪。後ろで一つに結ばれたそれが、腰を折った拍子に肩からはらりと零れ落ちる。事前に聞いていたカイルの風貌と合致して、アンリは警戒を解いた。
「すまない、君こそ怪我はないか」
そう尋ねたところでようやく顔を上げたカイルと視線が合う。こちらを見上げる相貌に目を奪われた。白い肌に大きなアーモンド型のエメラルドグリーンの瞳がよく映え、少し上を向いた眦が彼の美しさと清潔さをひと際際立たせている。
これまで容姿の優れた人など見慣れているアンリですら、カイルの持つまっさらな雪原のような清らかさに思わず息を呑んだ。
こんな綺麗な男がいるのかと、驚いたあのときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。学園に通うのは男子だけ、という先入観があったせいでカイルが女だという可能性はそのときには全く気付かなかった。
学園に無理を言って寮を相部屋にしてもらったまではいいが、考えれば自分と同室を強いられるカイル・デュカスはたまったものではないだろうなと、まだ来ぬ同室相手に同情していると扉の前に立つ人の気配を感じた。
カイルか、それとも物見遊山に来た誰かか……どちらだろうかと様子をうかがっていたものの、その人物は一向に動く気配がない。そのことから、おそらくカイルだろうと目星をつけて、アンリはドアを内側から開け放った。
――ガチャッ
「わっ……! いったぁ……、あっ!」
自分がドアを開けたせいで、相手が驚いて床に尻もちをついてしまい、内心で焦る。しかし、アンリが声を掛けるよりも先に、目の前の生徒は素早く立ち上がるとペコリと頭を下げた。
「し、失礼いたしました王子殿下! お怪我はありませんか」
まず目についたのは、艶やかに美しい金色の長い髪。後ろで一つに結ばれたそれが、腰を折った拍子に肩からはらりと零れ落ちる。事前に聞いていたカイルの風貌と合致して、アンリは警戒を解いた。
「すまない、君こそ怪我はないか」
そう尋ねたところでようやく顔を上げたカイルと視線が合う。こちらを見上げる相貌に目を奪われた。白い肌に大きなアーモンド型のエメラルドグリーンの瞳がよく映え、少し上を向いた眦が彼の美しさと清潔さをひと際際立たせている。
これまで容姿の優れた人など見慣れているアンリですら、カイルの持つまっさらな雪原のような清らかさに思わず息を呑んだ。
こんな綺麗な男がいるのかと、驚いたあのときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。学園に通うのは男子だけ、という先入観があったせいでカイルが女だという可能性はそのときには全く気付かなかった。