絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
たとえ男でも、儚げで清らかで、それでいて感情豊かにころころと表情を変える健気さを併せ持ったカイルに魅了されたのはまぎれもないアンリ自身で、側にいればいるほどカイルの――セレナの人となりに惹かれていった。
アンリは、カイルが女性だと知り困惑した。だけど、口論となったあの夜、ベッドの上で泣きながら兄に謝るセレナの姿を見たアンリは決意する。セレナをこの苦しみから解放したい、と。
そのためにはまず、彼女がありのままで生きられるようにすることだと考えたアンリは、国王に事の事情を説明した。セレナは被害者であり、罰せられるべきは父親だ。しかしそうなると、庇護下にあるセレナたち家族の立場も危うくなってしまう。
それだけはセレナのためにもどうにか避けたくて、国王という絶対的権利を持つ父親に助けを求めたのだった。
セレナに関する事を最後まで聞いてくれた国王は、「その話は一旦こちらで預からせてもらおう」と静かに言った。深刻な顔つきに不安は募るものの、それ以上なにも言わずにその場を辞する。
ここから先はアンリにはどうにもできない。ただ国王が取り計らってくれるよう、願うことしかできないのが歯がゆかった。
国王の書斎から自室へと帰る道すがら、それは起きた。
突如、胸元に熱を覚えた。かと思えば、衣服を通り抜けるほどの鋭い光が放たれ、その理由に気付いたアンリは全速力で駆けだしていた。
セレナが、渡したペンダントの防御魔法を発動させたのだ。
――どうして、よりによってこんなときに。
不安で逸る鼓動を鎮めながら、ピアスに仕込んでいた魔法を使って魔導士長と連絡を取り、転移魔法の準備をしてくれと伝える。運よく彼は王宮内にいてくれたため、アンリは風魔法を自身にかけながら彼の下へと急いだ。
「お待ちしておりました、殿下。準備は整っております、こちらへ。念のため、護衛代わりに殿下の後に部下を送ります」
「すまない、よろしく頼む」
アンリは、カイルが女性だと知り困惑した。だけど、口論となったあの夜、ベッドの上で泣きながら兄に謝るセレナの姿を見たアンリは決意する。セレナをこの苦しみから解放したい、と。
そのためにはまず、彼女がありのままで生きられるようにすることだと考えたアンリは、国王に事の事情を説明した。セレナは被害者であり、罰せられるべきは父親だ。しかしそうなると、庇護下にあるセレナたち家族の立場も危うくなってしまう。
それだけはセレナのためにもどうにか避けたくて、国王という絶対的権利を持つ父親に助けを求めたのだった。
セレナに関する事を最後まで聞いてくれた国王は、「その話は一旦こちらで預からせてもらおう」と静かに言った。深刻な顔つきに不安は募るものの、それ以上なにも言わずにその場を辞する。
ここから先はアンリにはどうにもできない。ただ国王が取り計らってくれるよう、願うことしかできないのが歯がゆかった。
国王の書斎から自室へと帰る道すがら、それは起きた。
突如、胸元に熱を覚えた。かと思えば、衣服を通り抜けるほどの鋭い光が放たれ、その理由に気付いたアンリは全速力で駆けだしていた。
セレナが、渡したペンダントの防御魔法を発動させたのだ。
――どうして、よりによってこんなときに。
不安で逸る鼓動を鎮めながら、ピアスに仕込んでいた魔法を使って魔導士長と連絡を取り、転移魔法の準備をしてくれと伝える。運よく彼は王宮内にいてくれたため、アンリは風魔法を自身にかけながら彼の下へと急いだ。
「お待ちしておりました、殿下。準備は整っております、こちらへ。念のため、護衛代わりに殿下の後に部下を送ります」
「すまない、よろしく頼む」