君だけが、僕の世界
第2話 どっち?

『第2話 どっち?』


◯次の日の朝、教室

・窓から朝の光が差し込む。月々の席は一番後ろの窓側から2番目。左隣の席に日菜子が腰掛け、花が立って話を聞いている。
月々:「2人とも、私の夢の話覚えてる?」
・日菜子が呆れ顔で答える。
日菜子:「あの、何百回も聞かされた花冠をくれる男の子の話ね」

・花が身を乗り出して目を輝かせる。
花:「あー!結婚の約束したあの?」
・月々が少し照れながら笑う。
月々:「その男の子がね…なんと、隣のお部屋だったの…!」

・日菜子と花が声をあげて驚く。月々が昨日の帰りの出来事を説明する。
花:「えっ、じゃあもしかして、今日の転校生って…」
・月々と花が、日菜子の座っている左隣の空席をちらっと見る。
・花が両手を広げて叫ぶ。背景にキラキラ効果。
花:「きゃー!運命すぎない!?」
・日菜子が耳を塞いで呆れ顔。月々は“運命”という言葉に頬を赤らめる。

月々(心の声):(ほんとに、運命?私とさっちゃんって…運命なの?)



※場面転換



◯ホームルーム

・先生が前で話している。月々は先生の声を聞き流しながら、隣の空席を見つめてドキドキ。
月々(心の声):(ここに…さっちゃんがくる)

先生:「じゃ、久我入ってきていいぞー」
・ガラッと開いた教室の扉。最初に見えたのは茶色の髪。
月々(心の声):(え…)

・教卓の隣に立ったのは彩月ではなく、別の少年。
月々(心の声):(あれ…でも先生今“久我”って…)
少年:「久我結月です。よろしくおねがいします」

・彩月にそっくりな顔立ちだが、冷たい印象。茶髪が目にかかる長さ。右耳にピアス。ブレザーもカーディガンもなく、シャツだけのラフな制服姿。
月々(心の声):(似てる…さっちゃんにそっくり)

・綺麗な顔立ちに、教室がざわざわし始める。女子生徒たちが小声で騒ぐ。
先生:「久我の席は、櫻井の隣なー」

・結月が月々の席に歩み寄る。月々は固まったように見つめる。
結月:「よろしくね、るー」

・月々が驚きで目を見開く。背景に大きな「!?」の効果。
月々(心の声):(まって…どういうこと!?誰!?)



※場面転換



◯教室・休み時間

・女子たちが集まってヒソヒソ。「誰が結月に声かける?」と盛り上がっている。月々は居心地悪そうに机に座る。
結月:「ねえ、るー。ちょっと話さない?」
・結月が月々の机に腕を組んでしゃがみ込み、覗き込む。

・月々がびっくりして目を見開く。周囲の女子たちの視線が痛い。
月々:「ちょっ、ちょっとこっち来て!」
・結月の腕を引っ張り、教室を飛び出す。

◯空き教室

・豪快に扉を閉める月々。結月はケロッとした顔で立っている。
月々:「誰ですか!?しかも、私のこと“るー”って…」
月々(心の声):(“るー”なんて呼ぶ人今までいたっけ!?てっきり、さっちゃんが来ると思ってたのに!)

結月:「俺のこと覚えてない?」
・月々が結月を見つめる。彩月と全く同じ顔。でも少し冷たい印象。
月々:「さっ…彩月くんとはどういう関係ですか?」

・きょとんとする結月。
結月:「あー、もしかしてもう2人会ってる?」
月々:「昨日、たまたま…」
結月:「彩月は、俺の双子の兄だよ」

・月々が固まる。背景に大きな「!!」
月々(心の声):(ふ、双子…?兄…?)

・混乱する月々を見て、結月がクスクス笑う。
結月:「ずっと気付いてなかったの?」
月々(心の声):(…はい。全く気付いてなかったです。ずっと同一人物だと思ってた…)
モノローグ:(じゃあ、あの結婚の約束は…どっちなの?)

・月々が考え込む顔。結月は楽しそうに笑っている。
結月:「るーは、今どこに住んでるの?」
月々:「えっと…く、久我くんの…」
結月:「…俺の?」

・月々が結月を見上げる。結月はワクワクした様子。
月々:「うっ…久我くんの隣に住んでます」
・結月がぱあっと笑顔になる。
結月:「え~…嬉しい」
・口元を隠して照れる結月。月々は呆然。
月々(心の声):(そんなに嬉しいか…?)
結月:「じゃあ、これから一緒に登校できるね!」

・結月が満面の笑みで教室を出ていく。月々は立ち尽くす。
結月:「明日から一緒に学校行こうね。それと、前みたいに“ゆづ”って呼んでいいからねー」
月々(心の声):(えっと、さっちゃんは双子で…弟が結月くんで…結婚の約束してくれた子はどっち?)
・頭の中がぐるぐる。背景に渦巻き効果。

・チャイムが鳴り始める。月々がハッとする。
月々(心の声):(…授業!!こんなことしてる場合じゃないよ~!!)
・廊下を走る月々。
モノローグ:(あの夢の中の男の子は一体どっち!?)
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