君だけが、僕の世界
第4話 合法チャンス

『第4話 合法チャンス』


◯ねずみの国・ショップ前

・月々、桜、日菜子がカチューシャ売り場で盛り上がっている。
月々:黒のスパンコールトップス(袖大きめ)、白パンツ、ベルト、黒ショルダーバッグ
桜:赤カーディガン、黒ミニスカート、黒ショルダーバッグ
日菜子:ストライプシャツ、デニム、白ショルダーバッグ

・桜がデニム生地の耳カチューシャを手に取って目を輝かせる。
桜:「このカチューシャかわいい~!!」
・日菜子が桜の手元を覗き込み、にこっと笑う。
日菜子:「かわいーね、これにする?」
桜:「うん!」

・3人で同じカチューシャをつけて鏡の前に並ぶ。桜が鏡越しにスマホで写真を撮る。
SE:カシャッ
・鏡に映る3人の笑顔。背景にキラキラ効果。
・桜が「かわいい~」と撮った写真をスマホで見ている。月々と日菜子も覗き込む。

・彩月のグループが現れる。彩月はデニムジャケットに黒パンツ姿。爽やかな笑顔。
彩月:「やっぱ女の子が付けるとかわいーね」
・彩月がいろんなカチューシャを次々とつけてみせる。女子3人は見惚れて目を輝かせる。
月々(心の声):(かっ…かっこいい~!!かわいい~!!!)

・桜が月々と日菜子に小声で。
桜:「あれが噂のさっちゃんですか?」
・月々がこくりと頷く。
・日菜子が目を丸くして。
日菜子:「こっちの久我と同じくらい、めっちゃイケメンじゃん。」
・月々が全力で頷く。背景に「ガンガン頷き」効果。
・桜がスマホを見ながら、にやっと笑う。
桜:「まあ、双子だからね~。てか、どっちかと今日一緒に回らなくていいの?」
月々:「へ?」
・桜が肩をすくめて楽しそうに。
桜:「うちらとはいつでも行けるけど…こんな合法チャンス二度とないよ!?」
日菜子:「合法て…」
・月々が内心でぐるぐる。
月々(心の声):(確かに桜のいう通り…でも、どっちかってどっち?)

・日菜子が真顔で月々に向き直る。
日菜子:「結局、月々はどっちが好きなの?」
・月々が言葉に詰まり、口をパクパクさせる。

・日菜子が肩をすくめて落ち着いた声で。
日菜子:「まあ、子どもの頃と今じゃ違うし分からないのも当然か。結婚の約束したからって、今好きだとは限らないし」 月々:「そ…だね」

・月々のモノローグ
月々が俯いて考え込む。背景にモヤモヤの効果。
月々(心の声):(日菜子のいう通り、子どもの頃の約束なんてないと一緒…あの頃とは体も心も違うんだし…)
・月々の表情は納得しているのに、胸の奥がざわついている。
月々(心の声):(なのに…なんでこんなにモヤモヤするの…?)

・桜が意地悪そうに笑いながら。
桜:「とりあえず、月々はもっと私達を頼ってね。昨日の川遊びのことも噂で聞いたんですけど~?」
月々:「昨日のは、遊んでたんじゃないの~!!」
・慌てる月々を見て、日菜子がクスクス笑う。
・月々が桜と日菜子を見て、改めて支えられていると実感する。

桜:「で!彩月くんもう行っちゃうけどいいの?」
月々:「え!」
日菜子:「とりあえず、タイミングよく兄の方がいたということで誘ってみれば?」
・桜と日菜子が親指を立てて“グー”のポーズ。月々の背中を押す。

・彩月がお店を出ていこうとする。月々が慌てて呼び止める。
月々:「さっちゃん!」
・名前を呼ばれて振り返る彩月。月々は緊張で顔が赤い。

月々:「よかったら、2人で回らない!?」
・彩月がぽかんとした表情。月々の心拍数が上がる。
月々(心の声):(まって…断られる!?さっちゃん驚いてる!)
月々:「だ、だめかな…?」

・上目遣いで聞く月々に、彩月が顔を赤くして口元を隠す。すぐに普通に戻ってニコっと笑う。
彩月:「いいよ!今日は2人でデートしよっか!」
月々(心の声):(デ…デート!)

・月々がチラッと桜と日菜子を見る。2人は手を振って「頑張って」と口パク。
・月々の顔がさらに赤くなる。

・月々と彩月が並んで歩く。周囲は賑やかな園内。
月々(心の声):(意図せず、さっちゃんと2人で回ることになったけど、私普通でいられる!?)

・彩月がパンフレットを広げてにこっと笑う。
彩月:「どこから行く?ジェットコースターとか好き?」
・月々はドキッとして視線を逸らす。
・月々が慌てて手を振る。
月々:「す、好き!…いや、ちょっと怖いかも…」
・彩月がクスクス笑う
彩月:「じゃあ、まずは軽めのやつから行こっか」

・月々が彩月の横顔を見て、胸を押さえる。
月々(心の声):(やばい…自然にリードしてくれるの、かっこよすぎる…!)

・手を繋いで歩くカップルが横を通り過ぎる。月々がチラッと見て赤面。
月々(心の声):(デートって…こういう感じなのかな…?)
・彩月が月々の様子に気づいて、少しからかうように。
彩月:「顔赤いよ?暑い?」
月々が慌てて手を振る。
月々:「ち、違うの!」
・彩月が笑って、月々の肩に軽く手を置く。
彩月:「無理しなくていいよ。今日は楽しむのが一番だから」
・月々が胸を押さえてドキドキ。
月々(心の声):(やっぱり…優しい…!)



※場面転換



◯オレンジ色の空。園内のライトが点き始める。月々と彩月が並んで歩く。

月々(心の声):(あっという間に夕方…楽しいけど、心臓がずっとバクバクしてる…)
・彩月がポップコーンを買って、月々に差し出す。
彩月:「はい、あーん」
・月々が真っ赤になって受け取る。
月々:「じ、自分で食べられるから!」
・彩月が笑って肩をすくめる。


◯観覧車前

・観覧車がライトアップされて輝いている。月々が見上げて目を輝かせる。
月々:「きれい…」
彩月:「乗ってみる?」
・月々がドキッとして頷く。


◯観覧車のゴンドラ内

・2人きりの空間。月々は緊張で手を膝に置いて固まっている。
彩月:「そんなに緊張しなくてもいいのに」
・月々が慌てて首を振る。
月々:「ち、ちがうの!」
・観覧車の頂上付近。
・窓の外に広がる夜景。月々が思わず見惚れる。
月々(心の声):(すごい…まるで夢みたい…)
・彩月が横顔で月々を見つめる。
彩月:「月々ちゃんって、表情がころころ変わるよね。見てて飽きない」
・月々が真っ赤になって俯く。
月々:「そ、そんなことないよ…」


◯園内・夜
・人が集まり始める。アナウンスで「まもなく花火が始まります」と流れる。
月々(心の声):(いよいよ…花火…!)
彩月が月々の方を見て、にこっと笑う。
彩月:「せっかくだし、一番よく見える場所に行こう」
月々が頷きながら、胸を押さえる。
月々(心の声):(こんなにドキドキして…私どうなっちゃうの…!?)
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