Existence *
「お前こそさぁ、ここの仕事辞めねぇの?」

「なんで?」


タバコを咥えたまま蓮斗が呟き、そして俺に視線を送ってくる。


「お前さぁ、ちゃんと父親してんの?ここともう一つの仕事。暇なときねぇだろ」


まぁ、ここの仕事は自由に休める事。

自由つっても忙しい時は出ねぇといけねぇだろうけど、探偵はそうもいかねぇだろう。


「あれ?俺の事、心配してんの?」

「お前の心配なんかするかよ」

「あー…愛優?ちゃんと見てるよ」

「そんな暇なくね?」

「いや、最近はさぁ他の奴に頼むこと多いから時間はまだある」

「あ、そう」

「あー…、ちなみに言っとくけど梨々花、2人目妊娠してる」

「へぇー…おめでと。で、お前の子?」

「は?んな事、言われるとは思わなかったわ」


クスクス笑う蓮斗に俺もポケットからタバコを取り出して口に咥え火を点けた。

煙を吸い込んでゆっくり吐き出し、そしても一度タバコを咥える。


「梨々花、大丈夫なん?」


一人目の妊娠の時、蓮斗と言い合ったことを思い出した。

丁度、あの時は俺が入院していて、病院内で言い合って、実香子に怒られたことを思い出した。


あれから2年か。

そう考えると早かった。


でも待ってる5年はとてつもなく長かった。


「大丈夫。ちゃんと色んな検査してる。実香子が居る病院だから何かあると連絡してって頼んである」

「そう」

「お前は?お前は美咲ちゃんとどうすっかとか考えてねぇの?」


今までなーんも聞いてくる事がなかった蓮斗が改めて聞いてきたことによって、俺は内心驚き蓮斗に視線を送る。

目が合った蓮斗から視線を逸らし、俺はベンチの背もたれに背を深くつけ、空を仰いだ。


ゆっくりと吐き出す煙がゆっくりと空へと舞い上がっていく。


人の恋愛に興味ねぇっつっときながら、何聞いてくんだよ。

と、思いながら空を眺めた。
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