Existence *
「楓も悩むことあるんだ」

「はい?」

「なんとなく想像ついたから。こればかりは仕方ないよね?」


困った様にミカはクスリと笑う。


「こればかりってなに?」

「昔から楓は人気だったから。ほとんどの女の子は皆、楓の事が好きだった。辞めた今でも続いてる」

「……」

「仕方ないよ、女絡みで彼女の事、不安にさせてるんでしょ?楓が男前だから仕方ないよ」

「……」


ミカが言ったことが正解だった為、何も言えなくなってしまった。

女絡みで美咲を不安にさせてしまった事。

それをどう解消したらいいのかも全く分からなかった。


「男前だった彼は前職ホストでした。そりゃ不安の要素ありまくりじゃん」

「……」

「私は無理。しんどすぎるわ。それにいつも耐えられないから別れるわ」

「別れるねぇ…」

「それが一番、効率良いよね?辛いのはしんどいから。…あ、ごめん、これは私の意見だから!でも良かったぁー…楓も悩むんだって思ったら普通の人間って思っちゃった」

「いやいや普通の何もねぇ男だから。別格で見んの辞めろよ。俺からしたらそれがしんどい」

「でも仕方ないよねぇ。楓はホストのイメージが強すぎるから」

「ほんと迷惑」

「あ!私はほんとに大丈夫だよ?もし変な噂流れちゃったら、彼女にちゃんと訂正しに行くから!」

「それも迷惑だわ」


深いため息を吐き出す俺にミカの困ったような笑い声が耳を掠める。


「ほんと病んでるね。そこまで本気なんだ、彼女の事」


クスリと笑ったミカに何も言えなくなる。

俺がこんなに想って本気だとしても今の美咲は違うって事。

美咲の不安を取り除こうとするには時間がかかるって事か。


俺が入院してる事を言ってなかったから俺が悪くて、こうなったのも自業自得なんだろうけど…
< 232 / 247 >

この作品をシェア

pagetop