Existence *
帰ると言った俺にミカも着いてきた。

もうすぐ友達が来るからって。

外に出て、真っ暗な夜空を見上げて一息吐く。


「なぁ?お前さ、自分だけが幸せになっていいのかな…とかさ、子供と男の間柄とかさ、その所為で結婚に踏み切れないって、そこ関係ねぇだろ」

「……」

「その所為にすんなよ。お前が幸せだったら子供も幸せだろ?その愛情を子供に注ぎ込んでやれば?」

「……」

「まぁ、親の愛情を踏みにじった俺みたいな奴に言われたくねぇと思うけど」


思い出す様に苦笑いを漏らす俺に、ミカは寂しそうにフッと笑った。


「ほんっと、いつも最後に心に突き刺す言葉言うよね」

「なんも言ってねぇよ。ただ、男の言葉も信じたらどう?って男目線から言いたいだけ」

「信じたいとは思ってる。子供の事、凄く大切にしてくれるの、私と同じくらい。…楓よりいい人」


その言葉に思わず声を出して俺は笑う。


「そう。なら尚更いい奴じゃねぇかよ。俺は多分、口だけで何も出来ない男だからな」

「見かけと全然違うもんね」

「そうそう。なーんも出来ねぇから困ってる」

「ねぇ…」


笑う俺にミカの小さな声が零れ落ちる。

視線を送るとミカが少しだけ表情を崩して俺を見つめた。


「どした?」

「繁華街に入る手前のコンビニの横にあるビル。来週の月曜日の20時過ぎにそこに行ってみて?」


そう言ったミカの表情があまりにも真剣だった。

俺をジッと見つめて、その瞳がぶれる事もない。


ミカが言ってきた場所に何があるのかなんて俺には全く分からなかった。

でもミカの表情があまりにも真剣で、その表情に俺は息を飲み込んだ。
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