Existence *
「認めるのね。…楓にはふさわしくない」

「いや、てかそれをお前が決める事じゃねぇだろ」

「じゃあ、あの女は楓に何をしてくれたの?楓が入院してる時、一度も来なかったでしょ?それにあなたが入院してる事も知らなかったじゃない」

「……」

「それで付き合ってるって言えるの?」


美咲が知らなかったのは留学してたアイツに俺が言わなかっただけ。

だからと言ってそんなことまでリアに話す必要すらなかった。


「リアには関係ねぇよ」

「馬鹿にしないでよ!私がどれだけ楓の事を想っていたのか、どれだけ尽くしてきたのか、あの女より遥かに私の方が
傍に居てる」


それは仕事上だろ?

俺がホストとしての時間の事。

同伴も、アフターもリアとは数え切れないくらいの時間を共にしてきた。

でもそれはホストと言う仕事の一環として。


俺の事を好きだと言う奴はほんと昔から決まった台詞ばかりだった。

俺の事を何も知らねぇくせして好きって言って、外見ばかりで求めて来る女ばかりで、俺にとっちゃそれが一番ウザかった。


「なぁ?じゃあさ、俺のどこが好きなわけ?」


低く呟いた言葉と同時に俺は視線をリアに向ける。

向けた瞬間、俺は軽くため息を吐き出した。


「なにその質問。好きに理由なんてないでしょ?」

「まぁ、そうだな…。リアは俺の事をホストと言う存在で見てるだけ」

「……」

「確かにリアには感謝してる。あの地位に居れたのもリアが居たから」

「……」

「リアのお陰で居れた地位だからその事に関しては俺は何も否定できない。なんでも1番が好きなお前からしたらホストで1番の俺が好きなだけであって、だからその座に俺を再びもっていこうとしてるだけだろ?」

「……」

「俺に対してのほんとの愛とか何もないだろ?庶民になった俺にお前は納得出来ないだけ」


ただ、それだけだろ。

今までずっとそうだった。

外見だけ見てきて、中身など知ろうともしない奴ばかりで、表面だけのいい俺しか見てねぇくせに。

リアだってそうだろ?

なんでも1番が好きなお前は、ホストで一番になってる俺が好き。

ただそれだけだろ。
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