Existence *
「夜に戻ってくる気ない?」


流星は頬杖をつき俺に視線を送り、そんな流星に思わず鼻で笑った。

やっぱり、そうきたか。

内心そうじゃねぇかって、思ってた。


「それ、誰が言ってんの?」


流星じゃない言葉だと分かっている。

こいつとは長い付き合いだったし、俺の事は理解してくれている。


「うちの社長」

「だろーな。で、なんつったの?」


目の前に置かれたグラスに視線を向け「ありがと」旭にそう言って、もう一度タバコを咥える。


「アイツはもどんねぇよって言った。でも社長はお前をもう一度欲しがってる」

「それって売上の為だろ?」

「さぁ、そこはわかんねぇ。ただ維持できるNO1が居ないから」

「別に一人の人間がトップの座を居座ってなくてもいいじゃねぇかよ」

「トップになりたくねぇ奴なんていないからな。むしろなる為にこの業界はある。でも社長の考えは違う。トップがコロコロ変わると店の核が下がるって、」

「はい?なにそれ。意味分かんねぇわ。昔っからだけど、あの人の考えよく分かんねぇわ」

「俺もな。多分、トップを何年も維持できる奴が居るから、そこを目標に客が増えるって。何年もトップの男が居たら見たいだろ、そいつの事」

「そうかねぇ…」


タバコの煙をゆっくり吐き出し、グラスに口をつける。

そんな事、俺に言われても…


「で、社長はお前を欲しがってる。一度、話しをして来いって。だからお前を呼んだ」

「いやいや、俺さ、出戻りとか一切する気ねぇから」

「もちろん、社長に言った。でも納得してねぇの」

「そこはお前が納得させろよ」


表情を崩して、短くなったタバコを咥えて煙を吸い込む。

その煙をゆっくり吐きながら灰皿に押し潰した。

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