Existence *
「相変わらずかよ、アイツは」

「彼女帰ってきたら絶対毎日してるっつってたわ」

「そう、毎日してる」

「は?まじで?」


俺の言葉に流星はタバコを咥えたまま唖然として俺を見た。

そんな流星にフッと鼻で笑う。


「…んなわけねぇだろ。馬鹿じゃねぇの、アキ」

「だよな。あいつの脳内はお花畑だからな。で?美咲ちゃんと一緒に住んでんの?」

「いや、」

「女居るから戻らねぇっつっとくわ、社長に」

「いやいや、それは言わなくていいだろうが」

「言わねぇと納得しねぇと思うけど。まぁ、言ったところで納得もしねぇと思うけど。そもそもお前の指名の女達が戻って来いって言ってんの。だからそれを耳にした社長がお前を戻したくて仕方ねぇんだろ」

「……」


流星はタバコの煙と一緒にため息を吐き出す。


「社長は割り切れる人。仕事は仕事、彼女は彼女。ちゃんと線引きしてる人」

「俺は違うから。辞めたのは美咲の為じゃない。でも、美咲の為にあの業界には戻るつもりはない」

「分かってるよ、そんな事。でもそれを望んでない女達が店に来る」

「知らねぇよ、そんな事」

「お前からするとそうだろうけど、社長はお前と人間を欲しがってる。俺が言っても納得出来ねぇだろうな。きっとそのうちお前の前に現れるよ」

「現れてもねぇ…」


呟きながらもう一本の煙草を咥え火を点ける。

辞めた人間がもう一度、戻る必要などない。
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