Existence *
「まぁ、お前に話したって事は伝えとく」

「つかさ、俺いま忙しんだわ」

「あー…経営の勉強?」

「そう」

「美咲ちゃんには言った?」

「言ってねぇよ。まだ言う必要ねぇかな」

「相変わらずお前は凄いね。その根性と才能どっから出てくんの?」


苦笑いしながら流星はクスリと笑う。

そんな流星から視線を外し、俺はタバコを指で挟んだままグラスを持ち上げる。

そしてそれをゆっくりと口に運んだ。


「才能は何もねぇよ。ただ周りに聞いて、周りの意見を実行してるだけ。何個か資格も取りたいから、ほんと俺忙しいんだわ」


タバコを咥えて流星に視線を移し、笑みを浮かべた。


「まぁ頑張れよ。俺はお前が戻って来るなんて初めから思ってねぇしな」

「まぁホストしてて色んな人達と交流みたいなんがあったからこそ今の俺が居るから、その辺はホストしてて良かったと思ってる」

「まぁな。色んな業種と巡り会えっからな」

「社長には悪いけどさぁ、お前から念強く言っといて。俺が辞めるって言った時、なかなか納得してくれなくて、やっと認めてくれて辞めれたと思ったら、戻って来いってか?俺からしたら何だよそれって話」

「そりゃそーなるわな。新店がオープンすんだわ。だから言ってんだと思う」

「へぇー…、あの人またオープンさせんの?すげぇな。そこに俺が行けってか?」

「多分な」


流星は苦笑いしながらグラスに口をつけ喉に流し込む。


「で?お前が行くの?」


チラッと視線を流星に送ると、クスリと笑みを漏らせた。


「そんなとこ。接客は一切しねぇけどな」

「しねぇけどってお前、前からしてねぇじゃねぇかよ」

「そう。してえねぇな」


ハハッと笑う流星にフッと鼻で笑いタバコをもう一度咥えた時、


「…楓?」


不意に聞こえた声に先に反応したのは流星だった。


「あ、」


振り向いた流星は小さく声を漏らし、その声に導かれるように俺はゆっくりと振り返った。
< 43 / 119 >

この作品をシェア

pagetop