Existence *
「あ、あった」

「良かった。やっぱそっちだったんだ」

「今、使うやつ?」


スマホを耳と肩で挟んで、封筒の中身を見る。

そして少し引っ張ると英語に関する資料が入っていた。


「明日だから朝に取りに行くから置いてて」

「んじゃあ仕事前に持って行くわ」

「え、いいの?」

「あぁ」

「ごめんね」


電話を片手で切り、右手に持っていた封筒を置こうとした時、中からカードがストンと下にへと落ちる。

その落ちたカードを拾い、


「こんな大事なもん入れとくなよ」


思わず呟きそれに視線を落とした。


…教員免許証。


次の朝、仕事前に美咲の家に着くと、既に美咲が家の前で待っていた。

車を停め運転席の窓を開け、茶封筒を差し出す。


「おはよ。はい、これ」

「おはよう。ごめんね、こんな朝早くわざわざ来てくれて」

「つか、こんな早くに何処行くんだよ。学校?」


見るからに美咲の格好は今から出かける格好で、俺は不思議そうに見つめた。

まだ7時半。


「あー…ううん。センター試験場」

「はい?何しに?」

「ほら、この前言ってた英語の教員免許とりに」

「あー…今日だっけ?…え?教員免許中に入ってたけど」

「あー、あれはあっちで取ってきたの。だからこっちでも取ろうと思って。ずっと教師するってわけでもないんだけど一応」

「まー、とりあえず乗れば?送るわ」

「いいよ、仕事遅れちゃうよ?」

「ちょっとくらい遅れても平気。乗んな」

「ありがとう」


運転席の窓を閉め、美咲が助手席へと乗り込む。

そして俺は車を発進させた。


「取らないと働けないって事?」

「ううん。行く所の学校は定時だからあっちで取得した免許でいけるの」

「へぇー…、ってかさ。美咲って英語どれくらいのレベルなわけ?」

「レベル?えー…なんて言ったら良いんだろう。あ、CEFR C1って言えばわかる?」

「は?マジで言ってんの?」


思わず苦笑いが漏れてしまった。

CEFRって言葉は昔から知ってたわけじゃない。

経営の人と会う機会が増え、海外で働いてる人とか、そして色んな話を聞くうえでそれを知った。


最高級レベルがC2で、美咲が言ってるのは多分その下。
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