Existence *
「お母さんって、何歳で亡くなったの?」

「えー…何歳だろ。22で俺を産んだっつってたから…38?多分」

「そうなんだ…」

「うん」


正直、お袋が何歳で亡くなったとか、全然あの頃は知らなかった。

そして考えた事もなかった。

自分の事しか考えてなかったから、あの頃はお袋の事を何も知らないままだった。

後になって沢山、気づかされることがいっぱいあって。

沢山感じた事もいっぱいあった。


「私も…行ってい?」

「え?」

「私も一緒にお母さんに会いに行ってもい?」

「いいよ」


そう言ってくれた美咲に思わず笑みが漏れる。

ずっと今まで一人で行っていたお墓に美咲が行ってくれると思うと、何故か嬉しく思う。


俺からじゃなく美咲から言ってくれたことに嬉しく思った。


「じゃあー、なんか作るね。翔、何がいい?食べるでしょ?」

「なんでもいい」

「じゃあ、私があっちでずーっと食べてた朝食」

「何そのずーっとって、」


苦笑いしながら美咲を見つめると、美咲は頬に笑みを作りながらキッチンへと向かう。


「クロワッサンの中にチーズとかハムとか挟むの。友達が食べてて、私もはまったんだよね。昨日買って来たから」


袋に入ったクロワッサンを手に掴んで微笑む美咲は冷蔵庫を開け、その中から具材を取り出していく。

あの頃の美咲はどこに行ったんだと思えるくらい変わってて、俺は自然と苦笑いが漏れた。


「ほんと、ちゃんと食ってんだ」

「食べてるよ。あっちではパンばかりだったけど、帰ってきたらご飯ばっかだよ」

「そっか」

「ごめんね。ここに来て翔にもなんか作ってあげようと思ってたんだけど、学校の事で忙しくて」

「俺の事は気にしなくていいから」

「気にするよ」

「ありがと」


そう言ってくれる美咲に笑みを漏らす。

ほんと、そこはあの頃と何も変わってないところ。

そして俺もあの頃と美咲に対する気持ちが何も変わっていない。
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