Existence *
「翔くん?あなたの周りには沢山の女の子が居る。美咲ちゃんの事、不安にさせちゃ駄目よ」

「そうそう、さっきみたいな女と出くわせたら大変なことになんぞ」

「だから俺の事はもういいって。てめぇは実香子の事だけ考えてろって」


ソファーに深く背をつけて、目の前でタバコを吸っている流星に視線を送る。

そんな俺に流星はフッと笑った。


「あ、実香子ちゃん元気?まさか実香子ちゃんが流星君の彼女だって知らなかったから」

「いや、俺ら付き合ってないんすけどね」

「そうなの?実香子ちゃん凄い可愛いよね」

「そーなんすよ。俺の癒しなんすよ」


何が癒しだっつーの。

コイツ馬鹿じゃねぇの。


「いやー、あれは癒されるよね。ナース姿がエロ可愛いよね」

「ハハッ、エロ可愛いって。沙世さん、おもろいっすね」

「え、でも実香子ちゃんのナース姿やばくない?」

「まぁ、確かにエロイわ」

「でしょー?あんな可愛い看護師いないよ」

「もう一度、より戻すか」


笑いながらポツリと呟く流星の言葉が本当か嘘かは分からなかった。

ただ、沙世さんと流星の会話に馬鹿じゃねぇのって、思うくらいで。


「翔くんがいつもお世話になってるから実香子ちゃんに感謝してる」


そう沙世さんが言った言葉に俺は無意識に首を傾げた。


「はい?別に俺、実香子に世話になってねぇけど」

「なってるじゃない」

「お前が病院に来なかったらアイツ俺に電話してくっからな。お前の伝言板じゃねぇっつーの」

「あら。流星君可哀相に。翔くん、人に迷惑かけちゃ駄目よ」

「いやいや、お前らが一番俺に迷惑かけてるっつーの。何かあれば美咲、美咲ってうっせぇよ」

「あら、やだ。そんな惚気ないでよ」


沙世さんが困った様に言葉を零すと、流星がゲラゲラ笑い始める。


「あー、もう沙世さん早く用意してこいっつーの。開店時間まで時間迫ってっぞ」


追い払うように手で沙世さんを払いのけると、沙世さんは小さくため息をついて立ち上がる。
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