Existence *
美咲に覆いかぶさるようにキスを交わしていくうちに美咲の腕が俺の首へと回って来る。

その所為でこれ以上のめり込まないようにと、ゆっくりと唇を離し美咲を見下ろした。


「…ごめん。眠すぎてエッチ出来ない」


何故かクスクス笑う美咲の頬を摘まんで、俺は隣に寝転ぶ。

その抓られた頬を摩りながらも美咲は笑みを零す。


「翔、明日早いし寝た方がいいよ」

「ごめん。美咲はしたかっただろうけど」

「もぉ、何言ってんの?早く寝なよ。もう2時半だよ。おやすみ」


スマホを掴んだ美咲は時間を確認して、また寝転ぶ。


「おやすみ」


そう言って俺は笑いながら美咲を抱きしめ目を閉じた。

眠いのは眠い。

だけど眠い所為で出来ないわけじゃない。

あのままの勢いに乗っかってしまうと、会いたかった気持ちが更に上回ってしまって、本当に流星が言ったように子供作って結婚してって言う勢いになりそうだった。


そうなればめんどくさい絡み事もなくなんだろうなって、一瞬考えたりもしてしまった。


ほんと俺…

なに馬鹿な事考えてんだろー…


ただ美咲を不安にはさせたくなくて。

美咲を困らせたくは、ない。


――…さっき寝たつもりが目覚ましの音でゆっくり目が開く。

美咲を起さないようにとスマホに手を伸ばし、すぐに切り身体を起す。


未だに朦朧とする意識を冷たい水で飛ばし、リビングに向かう。

そこに置かれているサンドイッチに視線が止まり、それを摘まんで口に入れた。


つか、帰ってきてからこんなものまで作ってたんかよ。

疲れて帰ってきてんのに俺の為にわざわざ作らなくていいのに。

冷蔵庫からアイス珈琲を取り出しグラスに注ぐ。

それを口に含んで椅子に腰を下ろし、また頬ばる。

何個か口に含んだ後、俺は着替え玄関に向かった時だった。


「…あっ、行ってらっしゃい」


寝室から美咲が慌てて出て来る。

乱れた髪を整えながら俺に頬を緩めた。


「わざわざ起きてこなくていいっつーの」

「目が覚めたから」

「全然寝てねぇんだし、もう一度寝な」

「うん」

「遅くに帰ってきて俺の為に作って。ごめん、ありがとう」

「ううん」

「行ってくるわ」

「うん。あ、今日は家に帰って資料取りに行きたいから向こうに帰るね」

「分かった」


マンションを出て、仕事場へ向かう。

そしてその仕事中に珍しく彩斗から電話があった。
< 69 / 119 >

この作品をシェア

pagetop