Existence *
「なんだかんだ言っても、あの頃は今より楽しかったっす。翔さんとルイさんの言い合いとか懐かしいっす」

「ルイねぇ…、」


呟きながら横にある自動販売機にお金を入れ、「お前もブラックでいいの?」彩斗に視線を送る。


「あ、はい」


買った1つの珈琲を彩斗に手渡し、「すんません」彩斗の言葉に頷き俺はプルタブを開け口に含んだ。


「アイツ俺をイラつかせるの得意だったからな。つかアイツ辞めさせられたんだろ?」

「あ、そうっす。いや、史上初のガチの揉め事。流星さんとか社長とかすげぇ怒ってて、閉店後にやべぇ空気流れて怒鳴り声響いてましたもん」

「だろうな。想像つくわ」

「いや、まじで翔さんにも居てほしかったっす」

「いやいや多分そこに俺おっても帰ってるわ」

「翔さん辞めた2か月後にそれっすよ?」

「俺はいつかはそうなると思ってたけどな」

「まぁ、そうっすけど。んでタカはツケ払いが多くなり過ぎたままバックレるから、更に流星さんの空気悪くなっし」


勘弁してって感じで言葉を吐きだしていく彩斗に俺は苦笑いをするしかなった。


「大変だな」

「大変ってもんじゃなかったっす。翔さん居なくなった途端、乱れまくり。だから社長は翔さんの事、呼び戻したいんすよ」

「呼び戻されてもな。つか俺29だけど。来年30だし」

「いやー…全く見えねぇっす。まだ23でもいけます」

「いけねぇだろ。もうホストに未練ねぇし、むしろ酒減らさねぇとって今は思ってる」

「あー…そうっすよね。ホスト辞めてから順調っすか?」

「そうだな。全然楽」

「それは良かったっす」


彩斗と別れた後、すぐに帰宅し、ソファーに寝転びながら本を開いた。

ある程度は知っていた経営の知識。

でも読んでいくうちに経営者に関する幅広い知識が知る。


美咲の前では本は開けたくないし、ペンを持つこともしたくはない。

敢えて美咲にはまだ言いたくない。


読むうちに英文がズラリと並ぶ。

所々は読めるものの、難しいものになるとスマホでいちいち知らべないといけない事にめんどくささを感じるものの、美咲がほんとに凄いと思わせられる。

今から思っても仕方ねぇけど、もっと勉強してたら良かった。なんて後悔してしまった。
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