クリームソーダだけがおいしくなる魔法
デザートの代わりに私にはクリームソーダ、彼にはデカフェのカフェオレがきた。カフェオレと言うよりほぼ牛乳。コーヒー風味の牛乳だ。そうカスタマイズしてもらった。彼は甘くないカフェオレ、もといコーヒーフレイヴァーのミルクが好きなのだ。もう牛乳だけで良くない?

「綺麗」

透明なサイダーにサイコロ型のゼリーが沈んでいる。ピンク、紫、緑。アクアリウムみたい。
半球のバニラアイスクリームが浮かぶ。月から見た地球ってこんな形だったような。夢のように可愛い。
バニラアイスクリームの上には金箔がひかえめにのせてあって上品な印象だ。

「あ、
『クリームソーダだけがおいしくなる魔法』しなきゃ」
「僕が言うよ」
彼がふんわりと微笑んで口の中で小さく呪文を唱える。
「小さい頃、君がこの魔法で喜んでくれるのが何より嬉しかった」
彼は目を細めてクリームソーダを見つめている。昔を懐かしむ年齢になったのか。私たち。

「本に書いてあった言葉なんでしょ?」
「そう。
小さい頃、君はとても泣き虫だったから、母に頼んで君の大好きなクリームソーダを作ってもらって」
「いっしょに泣いてたの誰よ」
「僕だね」

またふたりで笑いあった。似てるのかな。私たち。本当に。

「大きくなってクリームソーダを自分で作れるようになって、
たまに君といっしょに作って……本当に楽しかった。ずっとあの頃のままでいたいと思った」
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