花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 頑張ってきたつもりだった。
 入社して、プログラミングのプの字すら知らない、業界最大手の企業名すら知らないど素人どもと机を突き合わせて懸命に研修を受けた。恋にうつつを抜かすやつらもいたが私は無視した。猛烈に努力した。
 なのに。配属されたのは、下流と揶揄される、テストがメインの部署。
 テスターに回されるのは高卒の連中ばかりなのに……。
 なんのために。なにしに、自分は……。
 ろくに努力もしない文系が、人事受けしたからって花形の開発ばりばりの部署に配属されていくのを、砂を噛むような思いで見送った。口には出さなかった。
 リケジョは融通が利かないと思われがちだから必死に努力した。
 コピーの仕方も、電話対応も、来客対応も、Excelの使い方もソフトウェアの使い方も新規入場者の受け入れも全部そつなく出来るようにした。

「……川瀬さんは、愛想が足らないんだよな。んなこと言うとセクハラか」
 配属されて約二年私のことを見てきたはずの上司はそう評価する。
 みんなが一日かけてこなすことを自分は一時間で出来るように努力した。仕事の精度も質も、高く、ハイパフォーマンスを意識してきたつもりだった。
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