花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
「そう言わず。色んな人間が会社にはいんだからさぁ。それなりに仲良くやっていこうよ」
「神宮寺みたいな金持ちは言うことがちげえなぁ」
「だなー」
「女子のなかでも浮いてんもんなぁ」
「女子ってこええよな。いまどきハブるとか無いだろ」
「リンダとか裏で泣いてたって聞いたぜ」
「おまえ、そこは彼氏として慰めてやれよ」
「いや、……別れた」
「は!?」

 同じ研修ルームで三ヶ月間厳しい研修を乗り越え、苦楽を共にした大切な仲間だ。彼らの話にも耳を傾ける必要がある。
 ――ああ、きみに会いたい。
 会って抱き締めたい。キスしたい。
 突然ハグなんかしたらどんな反応をされるだろう。――いや、ない、ない。こんなコンプライアンスが厳しいこの時代において。
 けど、僕の本能は常にきみを求めている。
 花のようにあでやかに笑った、あの日のきみの面影をずっとずっと追いかけている。だから親父の会社なんか入らずここまで来た。

 順風満帆に見える人生であっても、影がある。
 あの日、波に溺れ、走馬灯を追い、必死に、浜辺へと戻れるようもがいてあがきながら、たったひとり。
 きみだけのことを思って生きてきた。
 ……他に経験がないと言えば嘘になるけれど。まぁ、いずれきみは僕のものになるから。とっておきの愛を用意してあげる。

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