花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 *

「綺麗……」


 大量の紙袋は全部恋生が持ってくれた。格好つけさせてくれよ、それが彼の言い分。

 三ヶ月間、直接言葉を交わしたわけではないけど、恋生が「俺」呼称で言うのは初めて見た。

 ……きゅんとした。

 舞台を移し、海の見える公園に来ている。こういう場所はカップルに人気でベンチはかなり埋まっている。

 私も恋生と一緒に……。

「寒くない?」

「ううん」と言ったのに、恋生は、自分が着ているカーディガンを脱ぐと私にかけてくれる。「あ……ありがとう」

「どういたしまして」

 夜景が視界いっぱいに広がる。潮の香り。故郷のちょっと泥臭いあれとは違う、都会的な香り。

 風が冷たく感じる。海の傍は風が冷たい、都会に慣れ切っていた私はそんなことも忘れていた。

 膝のうえで重ねる手がすこし冷たい。……温度が欲しい。

 ねえ恋生。私たちの関係ってなぁに? そう、端正で理知的な横顔に尋ねてみたらあなたはいったいどんな反応をするだろう。

 恋生は、不必要に喋るでも、強引に盛り上げるでもなく、余白を味わうように、黙って私の傍にいてくれた。気持ちが落ち着くまで――待ってくれていた。

 *
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