シンデレラは豪雨の中で拾われる
「それはどういう意味でしょうか」
「そのままの意味です。あなたに好意を伝えられて、ようやく私も自覚しました。葛城さんのことを、もっと知りたいです」
「…困りましたね」

 ようやく振り向いた彼は、眉毛を下げて困惑したように笑った。しかし、唇は美しい弧を描いている。

「より一層、あなたのことを帰したくなくなってしまいました」

 目元を撫でる彼の指が壊れ物を扱うかのように優しい。その手つきに囚われ、彼に聞こえてしまうのではないかというほど鼓動が大きくなる。

「本当によろしいのですね?」
「はい。私も、この想いが本物か確かめたいです」

 顔が近づけられるため反射で目を閉じると、そっと口付けられた。啄むようなキスに、背中にゾクゾクとしたものが走る。

「ははっ、何とも可愛らしい」

 その言葉には、ドロドロとした愛が滲んでいた。

「行き先はゲストルームではなくなりますが、勿論よろしいですね?」
「はい」

 すでに彼の虜になっている。そんなことを理解しながらも、彼に愛されてみたいと思ってしまうのは強欲だろうか。

 そんな私の心を見透かしたかのように、葛城さんは不敵に笑った。
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