推しで一途な婚約者は、国一番の人気者!つまり毎日が修羅場です。
3章「vs麗しきご令嬢」_6話:エゼリオ班
『アルフレードの偽物、ですか?』
アンジュに相談を受けた翌日。
アルフレードは出社すると、早速上司に相談する。現状は私的問題程度だが、軍人を装っている以上、犯人の狙いが軍の情報かもしれないのだ。黙って探索するよりも、情報を共有したほうが得策なのだ。
『…別の女性と、その体の関係を結んでいるようでして』
『もうアルフレードに似た別モノだね』
『アンジュ・ブルナーを選ばないアルフレードは、アルフレードすらないからな』
『そこ、話がごちゃごちゃになるから変な事を言わないように』
ただでさえ花祭りで忙しさが増しつつあるのだ。さらに面倒が加わりそうな気配に、顔がますます険しくなるエゼリオ班、副班長マーギッド。彼の隣で、班長エゼリオは何度も頷き、見当のある反応を示した。
『あー…じぁ、やっぱりお前の姿だったんだ』
『何ですって?』
『養母に相談されてな。最近変な男が彷徨いているって』
エゼリオの養母は酒場を営んでいる。酒場というところは、多種多様な職業の者が通い、様々な情報が入ってくる。基本従業員も聞いた話や秘密を外に漏らさないのを鉄則としているが、働く従業員の危険には目を瞑れないとエゼリオに相談が入ったのだ。
昨年から、やたら背が高く顔の良い男が、女性を連れていると言う。彷徨く男は何かをした訳ではないが"臭う"らしい。
危ない連中もいる世界で生き抜く彼女たちの勘は馬鹿にできない。個人的な相談であったため、エゼリオは1人で調査していたのだ。
『容姿はお前なんだが、他の女性といたって言うからさ。じゃあ違うかって』
『貴方のそのざっくりとした認識はなんですか』
班長の曖昧な報告に、マーギットは頭を抱える。
『まだ確定してないんだよ…。もっと固まってから報告したくて』
ジリジリと攻める目線から逃れるように、エゼリオは顔を背ける。
『いやでも副班長。アルフレードと接している人なら絶対に信じないですよ』
エゼリオをかばうわけではないが、部下の1人がマーギットに物申す。
家族を筆頭に、軍学校時代からの友人、エゼリオ班員はアルフレードのアンジュへの想いをよくよく体感している。
恐らく愛を捧げられているアンジュよりも、彼の深さを知っている。
アンジュと仲を深めたいと、図書館に通った軍学校時代。
学校以来離れてしまったアンジュと交流を持ちたいがために、彼女の次兄に懇願する。
アンジュに勘違いされたくないと、将校らに勧められる婚約を断る。
婚約した後は、心底楽しそうに彼女との出来事を話も、誰かにアンジュの魅力を伝わりすぎるのは嫌だと嫉妬心を抱いている。
そして、どうすれば意中の相手の心を開いてもらえるか教えを乞う。言葉や気の利かせ方に、家族から散々な評価を受けている彼は、堅実で愛情深く、口が固いと信頼されている職員の元を訪れては、その技を学んでいた。
健気で執着強いアルフレードの等身大の姿に、無骨で孤高な印象を抱いていた職員の意識を大きく変えた。
今では恋路に悩む不器用な若人として、生温かい目で見守られているのだ。
新人の教育係に任命されてからアンジュと会えない日々が続いていた時期、アルフレードは相当隠していたが苛立ちを抱えていた。
それからアンジュが中央区に異動することが決定してから、その浮かれようといったら。忙しさの合間を縫って彼女の元に通う姿は、大好きな主人のもとに駆け寄る犬そのもの。いつか本人に語り聞かせたいと、職員一同タイミングを狙っているほどだ。
そんな状況であるため今では、アルフレードは3度の飯よりアンジュ・ブルナーが好き、なんて話が回っているほどだ。
『徐々に中央男性兵士の常識となってますからねぇ』
先輩の呟きに、真面目な話をしているにも関わらず、アルフレードは嬉しさをが湧いてきてしまう。
『アルフレード、幸せを噛み締める前に報告。班長も合わせて調査報告』
『はい』
『はい』
エゼリオとアルフレードの返答が重なった。
アンジュから聞いた話を脚色せずに伝える。その内容に、エゼリオ班の面々は思わず天井を見上げた。
忙しさに面倒の拍車がかからないことを、ただ天に祈るのであった。
アンジュに相談を受けた翌日。
アルフレードは出社すると、早速上司に相談する。現状は私的問題程度だが、軍人を装っている以上、犯人の狙いが軍の情報かもしれないのだ。黙って探索するよりも、情報を共有したほうが得策なのだ。
『…別の女性と、その体の関係を結んでいるようでして』
『もうアルフレードに似た別モノだね』
『アンジュ・ブルナーを選ばないアルフレードは、アルフレードすらないからな』
『そこ、話がごちゃごちゃになるから変な事を言わないように』
ただでさえ花祭りで忙しさが増しつつあるのだ。さらに面倒が加わりそうな気配に、顔がますます険しくなるエゼリオ班、副班長マーギッド。彼の隣で、班長エゼリオは何度も頷き、見当のある反応を示した。
『あー…じぁ、やっぱりお前の姿だったんだ』
『何ですって?』
『養母に相談されてな。最近変な男が彷徨いているって』
エゼリオの養母は酒場を営んでいる。酒場というところは、多種多様な職業の者が通い、様々な情報が入ってくる。基本従業員も聞いた話や秘密を外に漏らさないのを鉄則としているが、働く従業員の危険には目を瞑れないとエゼリオに相談が入ったのだ。
昨年から、やたら背が高く顔の良い男が、女性を連れていると言う。彷徨く男は何かをした訳ではないが"臭う"らしい。
危ない連中もいる世界で生き抜く彼女たちの勘は馬鹿にできない。個人的な相談であったため、エゼリオは1人で調査していたのだ。
『容姿はお前なんだが、他の女性といたって言うからさ。じゃあ違うかって』
『貴方のそのざっくりとした認識はなんですか』
班長の曖昧な報告に、マーギットは頭を抱える。
『まだ確定してないんだよ…。もっと固まってから報告したくて』
ジリジリと攻める目線から逃れるように、エゼリオは顔を背ける。
『いやでも副班長。アルフレードと接している人なら絶対に信じないですよ』
エゼリオをかばうわけではないが、部下の1人がマーギットに物申す。
家族を筆頭に、軍学校時代からの友人、エゼリオ班員はアルフレードのアンジュへの想いをよくよく体感している。
恐らく愛を捧げられているアンジュよりも、彼の深さを知っている。
アンジュと仲を深めたいと、図書館に通った軍学校時代。
学校以来離れてしまったアンジュと交流を持ちたいがために、彼女の次兄に懇願する。
アンジュに勘違いされたくないと、将校らに勧められる婚約を断る。
婚約した後は、心底楽しそうに彼女との出来事を話も、誰かにアンジュの魅力を伝わりすぎるのは嫌だと嫉妬心を抱いている。
そして、どうすれば意中の相手の心を開いてもらえるか教えを乞う。言葉や気の利かせ方に、家族から散々な評価を受けている彼は、堅実で愛情深く、口が固いと信頼されている職員の元を訪れては、その技を学んでいた。
健気で執着強いアルフレードの等身大の姿に、無骨で孤高な印象を抱いていた職員の意識を大きく変えた。
今では恋路に悩む不器用な若人として、生温かい目で見守られているのだ。
新人の教育係に任命されてからアンジュと会えない日々が続いていた時期、アルフレードは相当隠していたが苛立ちを抱えていた。
それからアンジュが中央区に異動することが決定してから、その浮かれようといったら。忙しさの合間を縫って彼女の元に通う姿は、大好きな主人のもとに駆け寄る犬そのもの。いつか本人に語り聞かせたいと、職員一同タイミングを狙っているほどだ。
そんな状況であるため今では、アルフレードは3度の飯よりアンジュ・ブルナーが好き、なんて話が回っているほどだ。
『徐々に中央男性兵士の常識となってますからねぇ』
先輩の呟きに、真面目な話をしているにも関わらず、アルフレードは嬉しさをが湧いてきてしまう。
『アルフレード、幸せを噛み締める前に報告。班長も合わせて調査報告』
『はい』
『はい』
エゼリオとアルフレードの返答が重なった。
アンジュから聞いた話を脚色せずに伝える。その内容に、エゼリオ班の面々は思わず天井を見上げた。
忙しさに面倒の拍車がかからないことを、ただ天に祈るのであった。