シンデレラ・スキャンダル
「綾乃?」
「はい」
「驚かせて本当にごめんね」
その声が本当に申し訳なさそうで、わたしはすぐに首を横に振る。すると、わたしを包む龍介さんの腕に力が込められた。
「何も変わらないから」
彼は、心からそう信じている瞳でわたしを見る。
「……はい」
その純粋さが、今は痛い。あなたが変わらなくても、世界はそれを許さない。わたしが知ってしまった現実は、もう消せないのに。
「好きだよ」
耳元で囁かれたその言葉は、甘い毒のように胸に広がり、わたしを動けなくさせる。嬉しい。けれど、それ以上に怖い。その言葉が、わたしをこの場に縛り付け、逃げることさえ許してくれないから。
彼は、音楽業界でトップを走り続けるLegacyのボーカル。名前を聞いたこともある。姿を見たこともある。それでも、トレードマークのサングラスもせず、坊主頭でもない彼にわたしは気付くことができなかった。
芸能人と出会って恋に落ちるなんて、天地がひっくりかえってもあり得ないと思っていた。それなのに、どうして出会ってしまったのだろう。どうして六年ぶりの恋が彼なのだろう。
これが夢だったら。もしもこれが夢なら、どうか、わたしを現実に引き戻して。そうでないと、わたしは壊れてしまう。
耳元で囁かれる甘い言葉も、わたしを見つめるその優しい瞳も、きっと夢を見ているのだと何度も言い聞かせて。彼の温もりを感じながら、わたしは静かに目を閉じた。
「はい」
「驚かせて本当にごめんね」
その声が本当に申し訳なさそうで、わたしはすぐに首を横に振る。すると、わたしを包む龍介さんの腕に力が込められた。
「何も変わらないから」
彼は、心からそう信じている瞳でわたしを見る。
「……はい」
その純粋さが、今は痛い。あなたが変わらなくても、世界はそれを許さない。わたしが知ってしまった現実は、もう消せないのに。
「好きだよ」
耳元で囁かれたその言葉は、甘い毒のように胸に広がり、わたしを動けなくさせる。嬉しい。けれど、それ以上に怖い。その言葉が、わたしをこの場に縛り付け、逃げることさえ許してくれないから。
彼は、音楽業界でトップを走り続けるLegacyのボーカル。名前を聞いたこともある。姿を見たこともある。それでも、トレードマークのサングラスもせず、坊主頭でもない彼にわたしは気付くことができなかった。
芸能人と出会って恋に落ちるなんて、天地がひっくりかえってもあり得ないと思っていた。それなのに、どうして出会ってしまったのだろう。どうして六年ぶりの恋が彼なのだろう。
これが夢だったら。もしもこれが夢なら、どうか、わたしを現実に引き戻して。そうでないと、わたしは壊れてしまう。
耳元で囁かれる甘い言葉も、わたしを見つめるその優しい瞳も、きっと夢を見ているのだと何度も言い聞かせて。彼の温もりを感じながら、わたしは静かに目を閉じた。