シンデレラ・スキャンダル
空がようやく東の端から少し明るくなり始めたころ、わたしは詞を書く手が止まった。夜通し向き合っていた紙とペンを放り出し、ベッドに戻って、ぼんやりと空を見つめた。

この先への期待と不安が入り混じった思いを巡らせるようにして目を閉じたら、そのまま抗いがたい眠気に引きずり込まれてしまったみたいだ。

次に目が覚めたら、また龍介さんの腕の中。この温もりと香りが、今のわたしのすべてを物語っている。

「詞、書いてくれてたんだね」

「まだなの。本当に、書き始めたばかりで……」

「うん、ありがとう」

彼の手がわたしの髪を撫で、そして髪を梳くようにしてその指に絡ませたのがわかる。龍介さんに髪を触られるのは、気持ちがいい。

龍介さんはわたしの髪を触るのが気持ちいいと言うけれど、たぶんわたしの方が気持ちいいと感じているはず。その手の動きを感じるように、目をゆっくり閉じてみる。

「どんな曲になるかな」

「……旅行中にできるかな」

「日本に帰ってからでもいいよ。家にピアノがあるから、一緒に作ろう」
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