シンデレラ・スキャンダル
5章 夢見るシンデレラ
22話 ガラスの靴を脱いだあと
◇◇◇
ハワイに着いたときには気にならなかったはずの時差ボケが今、わたしを襲っているのは間違いない。頭が復活しないままのパーティーは、中々しんどいものらしい。
一時間ほど前に泣いてしまったこともあり、目が熱を持っている。今にも落ちそうな|瞼《
まぶた》と必死に戦う社長とわたしの送別会は、わたしがこの会社で担当する最後のパーティー。
わたしの隣では、鳥飼社長が優しく微笑みながらグラスを傾けている。今は肩の荷が少し降りたのか、いつもよりもさらに穏やかに微笑んでいる。その隣には奥さまの小百合さんがいて、同じように柔らかい微笑みを湛えている。
「綾乃ちゃんも、お疲れ様」
「ありがとうございます」
小百合さんが掲げたグラスに合わせるようにグラスを掲げて、その中に入っている泡が立ち上る黄金色の液体をのどに流し込む。これ以上飲んだら眠気が更に強まるのは確実だろうに、やめられない、止まらない黄金色の炭酸。
「松嶋さんは、次の仕事を決めてあるの?」
ふわふわする頭は、その社長の問いかけをゆっくり理解する。
「はい。とりあえず、二か月は同じ秘書の仕事をしようと思っています」
そう口にしながら、腹の底に力が入る。次に向かう場所は、ここのような温かい場所ではない。過去の清算。卓也との決着。龍介さんとの未来を掴むために、あそこへ行くのだ。感傷に浸っている暇はない。
ハワイに着いたときには気にならなかったはずの時差ボケが今、わたしを襲っているのは間違いない。頭が復活しないままのパーティーは、中々しんどいものらしい。
一時間ほど前に泣いてしまったこともあり、目が熱を持っている。今にも落ちそうな|瞼《
まぶた》と必死に戦う社長とわたしの送別会は、わたしがこの会社で担当する最後のパーティー。
わたしの隣では、鳥飼社長が優しく微笑みながらグラスを傾けている。今は肩の荷が少し降りたのか、いつもよりもさらに穏やかに微笑んでいる。その隣には奥さまの小百合さんがいて、同じように柔らかい微笑みを湛えている。
「綾乃ちゃんも、お疲れ様」
「ありがとうございます」
小百合さんが掲げたグラスに合わせるようにグラスを掲げて、その中に入っている泡が立ち上る黄金色の液体をのどに流し込む。これ以上飲んだら眠気が更に強まるのは確実だろうに、やめられない、止まらない黄金色の炭酸。
「松嶋さんは、次の仕事を決めてあるの?」
ふわふわする頭は、その社長の問いかけをゆっくり理解する。
「はい。とりあえず、二か月は同じ秘書の仕事をしようと思っています」
そう口にしながら、腹の底に力が入る。次に向かう場所は、ここのような温かい場所ではない。過去の清算。卓也との決着。龍介さんとの未来を掴むために、あそこへ行くのだ。感傷に浸っている暇はない。