シンデレラ・スキャンダル
さらに強い口調でそう告げると、乱暴に財布から二つの札束を取り出し、わたしの前にある木製のテーブルに投げつけた。分厚い札束が、鈍い音を立てて滑る。
「で、ホテル代は? いくら?」
目の前の瞳が、再び鋭い光を放ち、こちらを射抜くように向けられる。
「……ホテルには泊まってない」
かつては、この鋭い眼差しに射抜かれるのが怖くて、この男が言うこと全てに頷き、自分の感情を押し殺してきた。卓也の理想とする女性になろうと、背伸びをし続けた日々を思い出して、喉が張り付くように苦しくなる。
「飛行機で出会った人と一緒にいたの」
卓也は、一瞬、大きく目を見開いた。しかし、すぐにその表情は険しいものに変わる。
「……なにそれ。男?」
「そうよ。その人が助けてくれたの。オーナーからも守ってくれた」
わたしの答えを聞いて、卓也が吐き捨てるように「はっ」と短く息を零すと、すぐに嘲笑うかのように笑い出す。その笑いは、冷たく、耳障りなものだった。
「なんだ、その男とそういう関係になったってことね。結局……綾乃もそうか。そういう女なんだな。オーナーはダメで、そいつは良かったの? そいつの方が金持ってたとか?」
「やめて。そういう風に言わないで。彼は」
「お前の顔と体に惹かれたんだろ。いつもと一緒だって。やりたかっただけでしょ。助けるなんて、口実だろ?」
その言葉を聞いた瞬間、わたしの中で何かがプツンと切れる。怒りで視界が真っ赤になるかと思ったけれど、逆に、頭の中は氷のように冷え切っている。