シンデレラ・スキャンダル
24話 舞踏会へ
◇◇◇
わたしが日本に戻ってから数日後、龍介さんたちも同じく日本に戻ってきたようだった。日本に戻ってきてからというもの、空き時間ができたと言っては、なにかにつけて電話をくれる。家から電話をくれる時は、電話の向こうでピアノを弾いてくれるときもあって、ハワイで作った曲の歌詞を一緒に考えることもある。
それでもやっぱり龍介さんと話せるのは、長くても一度に数分。年末からツアーが始まることもあり、年末に集中する歌番組の収録もあり、リハーサルもあり、龍介さんのスケジュールは二月ごろまではまともなオフがないと言っていたことを思い出す。ハワイでは毎日一緒にいたけれど、日本に戻ってからは会えない日々が続いている。でも、龍介さんの優しい声で「綾乃」と呼ばれるたびに、胸が音を立てる。それは、今日も同じ。
「綾乃? ねえ、聞いてる?」
時々わざと黙って、龍介さんに名前を呼んでもらうのは内緒。
「はい。リハーサル、お疲れ様でした」
「うん。これから放送。綾乃、見れそう?」
「まだお仕事なんです。新曲、聞きたいんですけど」
「そっか。綾乃、それとさ……」
「あ、龍介さんごめんなさい。仕事の電話が」
「ああ。俺も、そろそろ行かなきゃ」
「はい。いってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
龍介さんとの電話を切り、仕事用の携帯電話を耳にあてて急いでオフィスフロアに戻る。
わたしが日本に戻ってから数日後、龍介さんたちも同じく日本に戻ってきたようだった。日本に戻ってきてからというもの、空き時間ができたと言っては、なにかにつけて電話をくれる。家から電話をくれる時は、電話の向こうでピアノを弾いてくれるときもあって、ハワイで作った曲の歌詞を一緒に考えることもある。
それでもやっぱり龍介さんと話せるのは、長くても一度に数分。年末からツアーが始まることもあり、年末に集中する歌番組の収録もあり、リハーサルもあり、龍介さんのスケジュールは二月ごろまではまともなオフがないと言っていたことを思い出す。ハワイでは毎日一緒にいたけれど、日本に戻ってからは会えない日々が続いている。でも、龍介さんの優しい声で「綾乃」と呼ばれるたびに、胸が音を立てる。それは、今日も同じ。
「綾乃? ねえ、聞いてる?」
時々わざと黙って、龍介さんに名前を呼んでもらうのは内緒。
「はい。リハーサル、お疲れ様でした」
「うん。これから放送。綾乃、見れそう?」
「まだお仕事なんです。新曲、聞きたいんですけど」
「そっか。綾乃、それとさ……」
「あ、龍介さんごめんなさい。仕事の電話が」
「ああ。俺も、そろそろ行かなきゃ」
「はい。いってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
龍介さんとの電話を切り、仕事用の携帯電話を耳にあてて急いでオフィスフロアに戻る。