シンデレラ・スキャンダル
「……リスケの件はかしこまりました。調整いたします。その他には——」
「それより! 今度の会食相手はすごいぞ」
「……それはなによりです」
「もっと興味持てよ。芸能人だぞ」
「なにより、です」
「聞いたら絶対に驚くから。一緒に連れて行ってやるよ」
「結構です」
「社長と先方で盛り上がったらしくてさ、秘書同席なんだって」
「なんでまた」
もうちょっとで面倒くさいという言葉が出そうになって、慌てて口をつぐむ。いくら相手が卓也でも、わたしは秘書。上司の打ち合わせや会食に同席することも仕事のうちだ。
「秘書に関わりがないから? 秘書の方もぜひって」
「会社の指示なら——」
「なんと、相手はLegacyだ!」
待ちきれないとでもいうように、わたしの言葉を遮った卓也の声。その単語が鼓膜を打った瞬間、指先が凍りついた。カタ、と乾いた音を立ててキーボードが沈黙する。
(嘘——)
脳裏に浮かぶ、龍介さんの笑顔。優斗くん、徹さん、畑中さん。運命の悪戯にしては、あまりにもタチが悪すぎる。 眩暈がして、わたしはデスクの端を強く握りしめた。
「ほらな! 驚いただろ? Legacyと飲めるなんてな。さすがに知ってるだろ? 柄が悪い感じがするから、綾乃は苦手かもしれないけど」
「レガ、シーの事務所と、一緒にということですか?」
「それより! 今度の会食相手はすごいぞ」
「……それはなによりです」
「もっと興味持てよ。芸能人だぞ」
「なにより、です」
「聞いたら絶対に驚くから。一緒に連れて行ってやるよ」
「結構です」
「社長と先方で盛り上がったらしくてさ、秘書同席なんだって」
「なんでまた」
もうちょっとで面倒くさいという言葉が出そうになって、慌てて口をつぐむ。いくら相手が卓也でも、わたしは秘書。上司の打ち合わせや会食に同席することも仕事のうちだ。
「秘書に関わりがないから? 秘書の方もぜひって」
「会社の指示なら——」
「なんと、相手はLegacyだ!」
待ちきれないとでもいうように、わたしの言葉を遮った卓也の声。その単語が鼓膜を打った瞬間、指先が凍りついた。カタ、と乾いた音を立ててキーボードが沈黙する。
(嘘——)
脳裏に浮かぶ、龍介さんの笑顔。優斗くん、徹さん、畑中さん。運命の悪戯にしては、あまりにもタチが悪すぎる。 眩暈がして、わたしはデスクの端を強く握りしめた。
「ほらな! 驚いただろ? Legacyと飲めるなんてな。さすがに知ってるだろ? 柄が悪い感じがするから、綾乃は苦手かもしれないけど」
「レガ、シーの事務所と、一緒にということですか?」