シンデレラ・スキャンダル
「そういうドレス着てるとイメージ違う。ほら、ハワイではシャツとかゆるめのワンピースとかだったじゃん」
「用意されたドレスだもん」
「俺、こういうドレスも好きだよ。綾乃が着ると清楚で上品な感じになるね」
「本当ですか? でも、背中が出過ぎてて、ちょっと恥ずかしいです」
「スタイリストとかが選ぶの?」
「いえ。今日は、担当の役員が選んだみたいで……」
「……そっか」
彼の視線が、わたしの背中に落ちる。その目が一瞬、冷たく細められた気がした。露出の多いドレスへの苛立ちか、それを選んだ男への嫌悪感か。
「……似合ってるけど、あんまり見せたくはないな」
誰にも聞こえないくらいの小声で呟かれたその言葉に、背筋が痺れる。
「みんな綺麗な人ばっかりだし、秘書って本当に才色兼備なんだな」
微かに低くなった龍介さんの声に気づいたのであろう優くんが、空気を引き戻してくれた。
「わたしが知る限りでも、みんなすごい努力してるからね。外見も中身も磨く、それが当たり前」
「綾乃も英会話学び始めたって言ってたもんね」
「はい、まずはせめて英語をと思いまして」
「ハワイでも聞き取りはできてから大丈夫だよ」
話している間に、すぐに触れそうな距離に彼の手や足が近づいてくる。その触れそうで触れない龍介さんの体に意識が集中していってしまう。
龍介さんの存在で熱を帯びていく頬を自覚しながら、必死に視線を外した。脳内は完全に龍介さんで占領されかけている。その意識を無理矢理にでも通常の可動域に戻そうと、わたしはぎこちない動きで頭を振る。
優くんにその不自然な動きを指摘され、からかわれたことで、わたしの頬の熱は更に高まるのを感じた。
「うるさいな」
「だって不自然じゃん」
優くんは相変わらずニヤニヤと笑っている。
「放っておいてよ」
「龍介さんばっかり意識してさ。俺も意識してよ」
「優くんを……?」
「なに、その『無理ですけど?』みたいな言い方。俺だって、イケメンの部類に入るんだけど」
優くんはさらにふくれっ面になり、わたしの発言に不満そうな声を上げる。
「用意されたドレスだもん」
「俺、こういうドレスも好きだよ。綾乃が着ると清楚で上品な感じになるね」
「本当ですか? でも、背中が出過ぎてて、ちょっと恥ずかしいです」
「スタイリストとかが選ぶの?」
「いえ。今日は、担当の役員が選んだみたいで……」
「……そっか」
彼の視線が、わたしの背中に落ちる。その目が一瞬、冷たく細められた気がした。露出の多いドレスへの苛立ちか、それを選んだ男への嫌悪感か。
「……似合ってるけど、あんまり見せたくはないな」
誰にも聞こえないくらいの小声で呟かれたその言葉に、背筋が痺れる。
「みんな綺麗な人ばっかりだし、秘書って本当に才色兼備なんだな」
微かに低くなった龍介さんの声に気づいたのであろう優くんが、空気を引き戻してくれた。
「わたしが知る限りでも、みんなすごい努力してるからね。外見も中身も磨く、それが当たり前」
「綾乃も英会話学び始めたって言ってたもんね」
「はい、まずはせめて英語をと思いまして」
「ハワイでも聞き取りはできてから大丈夫だよ」
話している間に、すぐに触れそうな距離に彼の手や足が近づいてくる。その触れそうで触れない龍介さんの体に意識が集中していってしまう。
龍介さんの存在で熱を帯びていく頬を自覚しながら、必死に視線を外した。脳内は完全に龍介さんで占領されかけている。その意識を無理矢理にでも通常の可動域に戻そうと、わたしはぎこちない動きで頭を振る。
優くんにその不自然な動きを指摘され、からかわれたことで、わたしの頬の熱は更に高まるのを感じた。
「うるさいな」
「だって不自然じゃん」
優くんは相変わらずニヤニヤと笑っている。
「放っておいてよ」
「龍介さんばっかり意識してさ。俺も意識してよ」
「優くんを……?」
「なに、その『無理ですけど?』みたいな言い方。俺だって、イケメンの部類に入るんだけど」
優くんはさらにふくれっ面になり、わたしの発言に不満そうな声を上げる。