シンデレラ・スキャンダル
「っていうか綾乃、あなた耳まで真っ赤よ」
忍さんが呆れたように、そして少し意地の悪い笑顔で、わたしの頬を指差した。熱い視線を龍介さんの体に送っていたことを指摘されたような気がして、思わず顔を覆う。
「だって……りゅ、龍介さん、あの、早めに閉めてください」
「え?」
目を両手で覆いながら訴えると、潤さんと忍さんの笑い声が聞こえた。
「綾乃、あなた可愛いわね! これくらいで真っ赤になるなんて」
「だって。龍介さんみたいな身体、初めて……見て」
三人の笑い声に混じってリサの笑い声まで聞こえてくる。龍介さんは笑って、わたしの頭を撫でた。
「ごめんね」
「わ、わたしっ……そろそろ食材切っておきますね!」
わたしはその手から逃げるようにして、キッチンに向かった。
キッチンに立ち、包丁を握る。パプリカをカッティングボードの上に置き、包丁を落とす。たったそれだけの作業なのに、なんだかさっきから上手くいかない。それはきっと、鼻を掠める香水とせっけんの香りのせい。
(……ダメだ、集中しなきゃ)
そう思えば思うほど、さっき見た光景が瞼の裏にちらつく。あの胸板、腹筋、タトゥー……。見たい、触れたい、触れられたい。おかしな欲望が浮かんでは消えていく。 心に頭が追いつかない。いや、頭に心が追いつかない。
(ああ……)
「いっ……!」
忍さんが呆れたように、そして少し意地の悪い笑顔で、わたしの頬を指差した。熱い視線を龍介さんの体に送っていたことを指摘されたような気がして、思わず顔を覆う。
「だって……りゅ、龍介さん、あの、早めに閉めてください」
「え?」
目を両手で覆いながら訴えると、潤さんと忍さんの笑い声が聞こえた。
「綾乃、あなた可愛いわね! これくらいで真っ赤になるなんて」
「だって。龍介さんみたいな身体、初めて……見て」
三人の笑い声に混じってリサの笑い声まで聞こえてくる。龍介さんは笑って、わたしの頭を撫でた。
「ごめんね」
「わ、わたしっ……そろそろ食材切っておきますね!」
わたしはその手から逃げるようにして、キッチンに向かった。
キッチンに立ち、包丁を握る。パプリカをカッティングボードの上に置き、包丁を落とす。たったそれだけの作業なのに、なんだかさっきから上手くいかない。それはきっと、鼻を掠める香水とせっけんの香りのせい。
(……ダメだ、集中しなきゃ)
そう思えば思うほど、さっき見た光景が瞼の裏にちらつく。あの胸板、腹筋、タトゥー……。見たい、触れたい、触れられたい。おかしな欲望が浮かんでは消えていく。 心に頭が追いつかない。いや、頭に心が追いつかない。
(ああ……)
「いっ……!」