シンデレラ・スキャンダル
急いで着替えてリビングに降りたわたしの胸に、リサが勢いよく飛び込んできて慌てて受け止める。

「リサ、おはよう」

「……アヤノ、リュウの匂いがする」

「そ、そうかなぁ?」

洗濯物を一緒に洗っているからというわたしの言い訳に、リサは疑いの眼差しを向けてくる。

「ふぅん」

その返し、そしてその顔。忍さんと一緒。

「やっぱりアヤノはリュウの恋人なんでしょう?」

「どう、え? どう、どうして……そんな」

「だって、リュウの部屋から出てきたもの。リサ、見てたんだから!」

この関係が恋人と呼べるような代物ではないとわかっている。わたしたちは旅先で出会って、わたしが恋に落ちて、そして身体を重ねた。

「アヤノは、リュウのこと好きじゃないの?」

答えられずにいるわたしをさらに追い詰めるように、「好きよね?」と再び問うリサ。小学生に追い込まれて頷くこともできず、彼女の瞳を見つめ返す。

「自分の気持ちよ?」

「そ、そうなんですけど」

「リュウと一緒に寝てるんでしょ? パパとママと同じだもん」

「そ、そうなんですけどね」

「アヤノは大人の女性なのに、好きかどうかわからないの?」

「いや、あの」

「素直になるって大事なことよ?」

「は、はい」

わたしよりしっかりしているこの子は一体何者だろう。
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