シンデレラ・スキャンダル
外から戻ってきたらしい龍介さんが二人でじゃれあっているわたしたちを見て、嬉しそうに笑った。そして、彼はわたしの隣に座ると、「なに話してたの?」と言って、わたしとリサを彼の腕の中に包み込んだ。
「リュウには内緒よ」と言われた彼は、わたしたちを抱き締める腕にさらに力を込める。「ええ? 教えてよ」そう言ってまた笑う。
リサがわたしたちの腕から抜け出して、テラスに走っていった。龍介さんはわたしのことを後ろから抱き締めたまま、頬に優しく口付ける。
「俺も子供好きだけど、綾乃も相当好きだよね」
「なんでわかるんですか?」
「顔が全然違うよ。リサに向ける顔がすごく優しいよ」
「そうかな……でも可愛いです。本当に」
テラスで楽しそうに駆け回るリサを見ていると、無条件で笑顔になれる。背中には龍介さんの温もり。わたしを抱き締める彼の手に自分の手を重ねる。
(ああ、やっぱり……)
「こういうの、幸せだよね」
わたしより先に、龍介さんが穏やかに呟いた。彼の方に振り向いて頷けば、わたしと同じように微笑む彼の唇が今度はわたしの唇に優しく触れる。
幸せがここにある。こんなにも温かい時間があるなんて知らなかった。誰かと過ごす時間を大切に思うことなんてもう二度とない。そう思ったのに、この時間があまりにも尊い。
失いたくない。龍介さんの笑顔を。この温もりを。
「リュウには内緒よ」と言われた彼は、わたしたちを抱き締める腕にさらに力を込める。「ええ? 教えてよ」そう言ってまた笑う。
リサがわたしたちの腕から抜け出して、テラスに走っていった。龍介さんはわたしのことを後ろから抱き締めたまま、頬に優しく口付ける。
「俺も子供好きだけど、綾乃も相当好きだよね」
「なんでわかるんですか?」
「顔が全然違うよ。リサに向ける顔がすごく優しいよ」
「そうかな……でも可愛いです。本当に」
テラスで楽しそうに駆け回るリサを見ていると、無条件で笑顔になれる。背中には龍介さんの温もり。わたしを抱き締める彼の手に自分の手を重ねる。
(ああ、やっぱり……)
「こういうの、幸せだよね」
わたしより先に、龍介さんが穏やかに呟いた。彼の方に振り向いて頷けば、わたしと同じように微笑む彼の唇が今度はわたしの唇に優しく触れる。
幸せがここにある。こんなにも温かい時間があるなんて知らなかった。誰かと過ごす時間を大切に思うことなんてもう二度とない。そう思ったのに、この時間があまりにも尊い。
失いたくない。龍介さんの笑顔を。この温もりを。