シンデレラ・スキャンダル
「わたし、寝起き……え、あ、どうしよ」

「大丈夫、大丈夫。可愛いから」

「可愛くないですよ! スッピンですよ」

「俺はスッピンの方が好きだよ」

「龍介さんの好みは本当にどうでもよくて」

「ひどい……」

わたしの慌てぶりを見て、いつものように龍介さんが握った拳を口元にあてて笑う。

わたしは彼のシャツを着たままで、シャワーの後だったからメイクもしていなければ、髪も整えていない。むしろまだベッドの上。絶対にしっかりとお迎えしようと思っていたのに。

彼の仕事仲間が来ているのに、二階で寝てましたなんてどれだけ図太い女だろう。クスクス笑っている人を部屋から追い出して、手早くメイクと髪を整えると、急いでリビングに向かった。
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