七つの海を渡る愛 ~Love Ocean~
 ――一同はウォルティンに船底へ案内された。そこはちょっとした宝物庫のようになっていて、金貨のたんまり入った布袋や宝飾品など金目の物がドッサリと置かれている。が、相当な悪徳商人だと噂されているミエール商会にしては宝がこれだけなのが、ブライス親子にはどうも引っかかる。

「お前たちの宝は本当にこれだけか?」

「あ……当たり前だろう! 貴様らのような海賊に、う……嘘などつけるものか!」

 そう言いながらも、彼の目が泳いでいるのをレイラは見逃さない。彼女は父にそっと耳打ちした。

「……父さん、もしかしたらこの船のどこかに隠し財宝があるかもしれない」

「……うん、そうか」

 切れ者である我が娘の推論に、キャプテン・ブライスは頷く。

「分かった分かった。では、ここにある宝はすべて頂くとしてだな……」

「念のため、船室も確かめさせてもらうよ」

 そう言うが早いか、レイラは一つ上の階へ上がった。ブライス船長も船底の宝物は部下たちに任せ、娘の後を追う。ウォルティンも慌てて後からついて来た。

「こら、お前たち! 何をしている!? そこには宝など……何もない……」

 息切れしているウォルティンなどには目もくれず、彼の部屋と思しき船室を物色し始めたレイラは、ベッドの下に隠されている古ぼけた宝箱を見つけた。

「船長! ベッドの下にこんなものがあるのを見つけたんだけど」

「でかした、レイラ! 開けてみろ」

 大きく頷いたレイラが箱を開けると、そこには金貨がビッシリと詰め込まれた麻袋が入っている。金貨の枚数まではハッキリと分からないが、相当な大金であることに間違いない。

「ま……っ、待ってくれ! その金は……!」

 ウォルティンが慌てているところを見るに、これは表に出せない金のようだ。ブライス船長がにんまりと笑った。

「ふぅん? これがお前らの〝隠し財産〟というわけか。これは俺たちが頂いておこう。――レイラ、他の船室も見てみろ。まだ隠してあるかもしれん」

「分かった!」

 父から命じられたレイラは、他の船室も物色してみた。すると……、同じような宝箱に隠された大量の金貨がいくつも見つかった。

「あんたたち……、こんなに財宝を隠していたなんて。しかもこれ全部、表には出せない金なんでしょう? だから隠してあったんでしょうけど」

「勘弁してくれ……! その金まですべて持っていかれたら、ウチの商会は潰れてしまう……!」

「それは自業自得でしょう? どのみち、この隠し資産の事実を王宮に知られたらあんたたちはおしまいだからね。これは立派な脱税になるんだから」

 商人たちは、自分たちの持っている資産を正確に王宮に申告しなければならないと法に定められている。隠し資産を持っているということは、法を犯していることに他ならないのだ。
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