運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 まさかお礼を言われるとは思わなかったのか、みちるの表情が驚いたように見えた。

 その日の夕食の盆には、いつものパンとスープに加えて、二切れのリンゴが添えられていた。きっと、彼女なりの気遣いなのだろう。思わず笑みがこぼれる。

「これ、あなたの分じゃないの? 本当にいいの?」
 琴音たちがわざわざ食事を増やすはずもない。ならば、彼女の取り分を分けてくれたに違いなかった。
「リンゴなら食べやすいでしょう? 最近、ずっと胃のあたりをさすっているし」
 確かにリンゴなら口にできそうだ。彼女の気持ちがうれしくて、ひと口かじると甘酸っぱさが広がり、胸の奥まで沁みていくようだった。

「……おいしい」
「早く……出られるといいですね」
 その声に、私は小さくうなずいた。きっとみちるも、つらい生い立ちを抱えているのだろう。琴音に弱みを握られているのかもしれない。でも、根は優しい人に違いない――そう思いたかった。
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