運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 あの日、私は経験もなく、ただ彼に身を委ねてしまったのだから。それから会うたびに身体を重ねていた。
 もし本当にお腹に優希くんとの子どもがいるのなら――?
最初に湧き上がったのは、ただただ嬉しいという気持ちだった。けれどその感情は、すぐさま現実によって押しつぶされる。

 ――私は、いま閉じ込められている。

 このことが琴音に知られたらどうなるだろう。母の形見を壊し、火事をほのめかし、優希くんとの関係を「消す」と言い放ったあの人が、子どもの存在を知ったとき、どんな行動に出るか想像すらしたくない。
「絶対に……知られちゃだめ」

 小さく呟きながら、私はお腹にそっと手を添えた。確信はない。けれど、毎月欠かさず訪れていたものが今月だけ途絶えたという事実、そして続いている吐き気は、これまでのストレスだけでは説明がつかないように思えた。
 なのに、病院へ行くことも、検査をすることも許されていない。
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