運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 どうしたらいいの……。誰もいない部屋で私はそう呟いた。
 
 私はひとり、部屋の薄明かりの中でじっと天井を見つめていた。数か月前までは、この家を出ようなどと考えたことは一度もなかった。どんなに琴音に理不尽な扱いをされても、麻子さんに蔑まれても、必死に耐えてきたのは――ここが、私にとって何よりも大切な場所だったからだ。
 
 柱に残る小さな傷は、幼いころ、私が誤ってぶつけたときについたもので、壁の飾り棚の上には、母が生前に選んだ陶器のランプがまだ残っている。母が亡くなったあとも、この家の空気の中には、祖父母の温もりや母の声が確かに生きていて、私はそれに支えられてきた。だからこそ、琴音たちがどれほどこの家を汚そうとしても、私は決して手放すことはできなかった。

「ここは……私の家なのに……」
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