運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 最後は呆れたように言いながらも、みちるはまっすぐに私を見ていた。その瞳の奥に、これまでの壮絶な人生と、琴音に利用され続けてきた影がにじんでいる気がした。

「わかった」
 今の私には、この命を守ることしかない。ここに閉じ込められていては何も始まらない。だから、彼女の好意を素直に受け取らせてもらうことにした。

 私は押し入れの奥から古い宝石箱を取り出す。そこには、母が大切にしていた宝石がいくつか残されていた。小さなペンダントをひとつ選び、みちるの手に握らせる。

「これを持って。……お願い、あなたもすぐにここから逃げて」
 その瞬間、みちるの目が大きく見開かれた。
「そんな……私は……」
「あなたのことも巻き込みたくない。でも、あなたがいなかったら、私は逃げることすらできなかった。……お願い。自分を大切にして」

 短い沈黙ののち、みちるはゆっくりと頷いた。

「……わかりました」
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