運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 これから真っ先に確認しなければならないことがある。――産婦人科。
 今の場所から少し離れ、目立たず評判も悪くない医院を探す。口コミは少なかったが、落ち着いた個人クリニックを見つけ、指先で予約フォームに触れた。
 
 画面を閉じると、窓の外は夕暮れが街を包み始めていた。ゆっくりと深呼吸をひとつ。まだ確定ではない。けれど――もし本当にこの身体に命が宿っているのなら、私は何があっても守り抜かなければならない。
 もう奪われてばかりの人生でいいとは思えなかった。母と祖父母の思い出が詰まったあの家を、手放してきたのだから。そこまでの覚悟を抱いて逃げてきた、そして私は今生きている。
 私はそっとお腹に手を当てた。まだ膨らみなんてあるはずもないのに、確かにそこに〝何か〟が宿っている気がした。

「大丈夫。ちゃんと守るから」
 無意識にこぼれた言葉にハッとして、思わず小さな笑みが浮かんだ。

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