運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 そう尋ねようとした瞬間、タイミング悪く武藤が病室に入ってきたのがわかり、俺は言葉を止めた。そのあとすぐ、彼女は武藤に名前を尋ねられたとき、「佐々木」と名乗った。そこで俺は晴香が結婚をしたことを悟る。

 自分との子どもではないかという淡い期待は消え、心が急激に冷えていくのがわかった。だが、なぜこれほどやつれ、誰にも頼れないと言うのか――理解できなかった。夫や家族はどうしているのか。

 苛立ちにも似た感情がこみ上げたが、すぐに別の気持ちに変わった。結婚をしている以上、俺が何かを言うべきではないのではないか。
 武藤の話では、頭も打っているし、しばらく入院させた方がいい、そういう見解だった。少し外すと言い残し、俺は結菜ちゃんを連れて病室を出た。
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