運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 その言葉を、私は過去にも彼に言ったことがある気がした。酔った夜、デザートのケーキに添えられていた小さなチョコレートを「おいしい」と言ったことがあった。――まさか、それを覚えていてくれた? いや、私のことを覚えていないのに、それはない。自分のうぬぼれを叱咤しながら、そっとひとつ手に取り口に入れる。芳醇なカカオの風味にナッツが合わさり、思わず息がもれるほど美味しい。

「おいしい」
 素直に零れた言葉に、優希くんは「よかった」と安堵するように言った。

「それで――」
 チョコレートを見つめていた私に、先ほどまでとは違う真剣な声音が届き、私はハッとして顔を上げた。

「これからのことなんだが」
 これから――。私は明日退院して家に戻るだけ、優希くんとはもう会うことはない。
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