運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 エントランスで待つように言われ、結菜と並んで待っていると、一台の車が滑り込んできた。高級ブランド車だが、スライドドアがあり、ファミリーカーとしても使えるタイプだ。彼ならスポーツカーやSUVに乗っていそうなのに、と意外に思っていると、自動で開いたスライドドアに結菜が乗り込もうとする。

「結菜、危ないから待って」
 運転席から笑いながら降りてきた優希くんが、結菜を抱き上げて車に乗せる。後部座席にはきちんとチャイルドシートまで設置されていた。驚いて目を瞬かせていると、優希くんがこちらに手を差し出す。

「ほら、乗って」
 身体を心配して、危なくないように手を貸してくれているだけなのに、意識してしまった自分が恥ずかしい。「すみません」と小さく呟いて、その手を借り、結菜の隣に乗り込む。

 後部座席のモニターには、結菜の好きなアニメが流れていた。至れり尽くせりの環境に、胸に広がるのは申し訳なさと感謝だけだ。けれど、こうして彼の優しさに触れてしまうと、過去の気持ちがよみがえりそうになる。何も知らず、図書館で並んで笑っていた日々。
「まず、荷物を取りに晴香の家に行こうと思う。でも、俺は場所を知っても口外しない。信じてほしい」
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