運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 少し店内を見回すと、窓際の席に、すでに来ていた相手の姿が見えた。私はそのまままっすぐ歩み寄り、声をかける。
「お待たせ」
 営業推進部に所属する同期、渡(わた)辺(なべ)紗(さ)江(え)はスッと顔を上げると、「お疲れ」とにっこり笑った。短めのボブカットが涼しげで、どこかサバサバした雰囲気の彼女は、入社以来の友人であり、数少ない私の心許せる存在だ。お父様はお医者様で、いわゆるお嬢様なのだが、それをひけらかすこともない。

「料理、取りに行こうか」
 そう言って立ち上がった紗江と一緒にビュッフェのカウンターへ向かう。

 蒸し鶏の梅だれサラダ、夏野菜のラタトゥイユ、冷たいトマトのスープといった夏らしいメニューから、定番の鯖の塩焼き、鶏の唐揚げ、ハンバーグまで、和洋中かなり豊富なラインナップが並んでいた。これが、このカフェテリアの人気の理由なのだ。
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