運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
「あんた……何よ、その格好。着飾って、こんなところで何してるの?」
 久しぶりに耳にする、憎しみのこもった声音に、反射的に逃げ出したくなる。
 だが、私は息を整え、ゆっくりと振り返って、目の前のふたりを静かに見据えた。

「久しぶりね、琴音……それに麻子さんも」
 昨日から、もしかしたらこの場に現れるかもしれないと、どこかで覚悟していた。
 彼女たちは、ずっと朝倉家との縁談を望んでいたのだから、ここにいても不思議ではない。
 そして、もしそのときが来たなら、私はきちんと決別をする――そう心に決めて、今日ここへ来たのだ。
 本当に運の悪いことに、優希くんが隣にいない、この瞬間に出くわしてしまうとは……。

 ――けれど同時に、それは自分ひとりで対処するための、好機でもあるのかもしれなかった。
「なっ、どうして! あんたがここにいるのよ!」
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