運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 その視線の先には、巻き髪のブラウンヘアに淡いピンクのトップス、膝丈の黒いスカートを品よく着こなした、まさに〝清楚で可憐〟という言葉が似合う女性が歩いていた。いつもより気合が入っているのは、今朝かなり時間をかけていたからだろう。

「琴音さんだっけ? 私たちと同い年なんだよね? でも、彼女がこんな普通の場所でランチって、珍しくない?」
 紗江の声を背中で聞きながら、私は琴音の姿を目で追っていた。まさか、こんなところでまで顔を合わせるなんて――。
 大学を卒業してからの琴音は、家では「家事手伝い」と称して、気ままな生活を送っていた。

 しかし、数か月前。何を思ったのか、突然、父の取り計らいによって会社に入ってきたのだ。
 受付として、〝社長の娘〟という立場で――。
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