運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 朝食の準備に始まり、洗濯や掃除、さらには琴音の身支度まで――いつの間にか、そのすべてを私が任されるようになっていた。

「手伝って」と言われたはずが、気づけば私ひとりが動いていて、ふたりはソファに座って笑っている。そんな日々の合間に、久しぶりに図書館に足を運んだころには、もう彼の姿はそこになかった。

 その後、私は就職しある日たまたま開いた雑誌で彼の姿を目にする。
 そのとき初めて、彼が朝倉グループの御曹司であり、名家の長男だということを知ったのだった。
 お互い名前しか知らなかったから淡い恋心を抱けていた。身分を知っていれば、決して私なんかが近づける相手ではない。

 それでも琴音は、彼と知り合ったのだ。
 どうやって出会ったのだろう。そんな疑問が頭をかすめたとき、不意に思い出したのは、以前耳にした麻子さんと琴音の会話だった。

『昨日のパーティーで、いい人を見つけたの』
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