運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 あのときは深く聞かなかったけれど、もしかすると、その〝いい人〟というのが優希くんのことだったのかもしれない。

 あのふたりなら、どんな手段を使ってでも〝お近づき〟になろうとするだろう――そんな想像すら浮かぶ。胸の奥に広がる重苦しさを押し込めるように、ため息をこらえながら、私は目の前の白米を口に運んだ。

「朝倉社長って、周りにたくさんの女性がいるけど、本気にならないって噂ですよね。でも、琴音さんとはお付き合いを?」
 後輩の問いかけに、琴音は「想像に任せるわ」と楽しげに笑った。
 その笑顔もやり取りも、まるでわざと見せつけられているようで、また喉の奥にため息が込み上げる。

 ――もう、早めに席を立とう。

「紗江、先に戻るね」
「私ももう行くわ」

 なんとなく、紗江も琴音の態度に思うところがあったのか、そういうと私と一緒に立ち上がったそのときだった。背後から、再び声が聞こえてきた。
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