運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 琴音から渡された紙には、住所しか書かれていなかったが――どうせ、オーダーの洋服か何かだろう。店が閉まっていたら、それこそどうにもならない。
 私は同僚に軽く挨拶をしてから、スマホにその住所を入力し、足早に会社を出た。

 指定された場所は、やはり飲食店やブティックなどが立ち並ぶ、都心の華やかなエリアだった。私はスマホの地図を頼りに、その場所を目指す。
「……ここ?」
 目的地に着いた私は、建物の前で足を止めた。そこは、重厚な扉と控えめなプレートだけが目印の、会員制の高級バーのような佇まいだった。

 看板もないその店は、まるで隠れ家のようで、知らなければ通り過ぎてしまいそうな場所だ。
 こんなところに、いったい何の用が――?
 不意に胸の奥に、ひどく嫌な予感が広がる。思わず引き返そうとしたそのときだった。

「遠藤様ですか?」
 声をかけてきたのは、スーツ姿の男性だった。

「……はい」
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